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乳牛の乾乳期飼養管理

 酪農経営では、常に生産性向上が望まれ、多くの牧場では日々努力をされています。周産期病を減らしたい、分娩後の立ち上がりをスムーズにしたい、繁殖成績を良くしたい、など牧場によって課題は異なりますが、いずれの課題に対しても乾乳期の飼養管理が大切であり、それが泌乳期へ大きく影響することは言うまでもありません。
 今回は、次乳期への準備期間である乾乳期管理のポイントをいくつかおさらいしたいと思います。

前・後期の2群管理で泌乳期へのならし給与をすることが基本です

前期(乾乳〜分娩予定3週間前まで)

良質牧草(低水分ラップサイレージ、乾草が最良)の飽食
濃厚飼料1~2㎏
コーンサイレージを給与する場合7~10㎏

 粗飼料を主体にすることで、ルーメンの機能と容積を回復させます。この時期の濃厚飼料は、第1胃内絨毛の退縮を最小限にするために必要な量となります。また、カルシウムの給与制限はしないようにしましょう。

後期(分娩予定前の3週間)

良質牧草の飽食
濃厚飼料3~4㎏
コーンサイレージを給与する場合7㎏程度(厳寒期は10㎏程度)

 胎児が急激に発育する時期のため、栄養要求量が大きいステージになります。採食量が低下しやすい時期でもあり、過肥牛は特にその傾向が強くなります。過肥牛こそ栄養不足に注意しましょう。

乳熱(低カルシウム血症)を予防する

 乳熱予防にとられている方法はいくつかあります。一般的に多いのは、クロースアップ期(乾乳後期)でのカルシウム給与制限です。これに加えて、カリウム含量の低い牧草の給与、マグネシウムをたっぷり与えることも重要です。

DMI(乾物摂取量)を低下させない

 分娩前3週あたりから、妊娠子宮による圧迫や、分娩・泌乳へ向けてのホルモンの変化により特にDMIが非常に低下しやすい時期となります。DMIを低下させるような要因はできる限り避けましょう。基本的なことですが、過密にしない、水槽は清潔にする、十分な飼槽スペースを確保する、嗜好性のよい良質の粗飼料を給与するなどが挙げられます。また、牛が十分採食しているか否か、左膁部の張り具合で確認しましょう(写真1~6)

写真1

採食量が低下し、ルーメン容積が減少して左膁部がくぼんでいる過肥牛

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写真2

採食量の低下が少なく、膁部のへこみの少ない牛

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写真3

草架台は頭数に見合った数を置きましょう。(10 頭に1 台)食べないロール牧草はいつまでも置かず、適度に新しいものに入れ替えましょう。

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写真4

過密を避け、清潔な環境を保ちましょう。

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写真5

良質の乾草を十分に与えましょう。また、食べやすいように、飼槽に広げるとより良いでしょう。

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写真6

代謝機能低下を予防、難産予防のためにも、運動は必要です。

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BCS(ボディーコンディションスコア)の管理

 乾乳期に3.25程度であることが理想で、乾乳期ではBCSを変化させないことが基本です。したがって、泌乳後期に過肥にさせないことが大変重要です。乾乳前に過肥となってしまった多くの牛は、分娩前に痩せ始め周産期病になりやすいため注意深い観察が必要です。

以上、基本的なことを簡潔に挙げましたが、牧場により手持ちの粗飼料の都合、施設的な事情は違います。現状の中で改善できることを見つけ出し、生産性向上へつなげていって頂けることを願います。もちろん、不明なことがあれば、獣医師に相談して下さい。