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牛白血病(地方病型)について

牛白血病は、血液中の白血球増加や全身のリンパ節が悪性腫瘍となる「血液のガン」です。

1、原因は牛白血病ウイルスの感染が多い

 牛白血病には、牛白血病ウィルスの感染による地方病型と原因不明の散発型があります。
牛白血病の多くは地方病型で無症状の場合が多く、病気が進行すると感染牛の30%で白血球のリンパ球が持続的に増多する病気(持続性リンパ球増多症)となり、更に進行すると感染牛の3%で白血病を発症します。発症牛は、リンパ節の腫大、削痩、元気消失、食欲不振、眼球突出、起立困難などの症状を示し、ワクチンや治療法がなく予後不良となります。
 散発型は発症時期あるいは病変形成部位の違いから子牛型、胸腺型、皮膚型に分類され原因は不明で治療法はなく、地方病型と同様に予後不良となります。
牛白血病は平成10年に家畜伝染病予防法の届出伝染病に指定され、発症した牛は平成15年の「と場法」の改正で「と殺および解体」が禁止されました。

2、感染血液・乳汁によって伝播される

 牛白血病ウィルスに感染するとウィルスは血液や乳汁中のリンパ球に潜み、ウィルス量が多い血液や乳汁によって垂直もしくは水平に伝播されることで感染の危険度が増大します。

  1. 垂直感染(子宮感染、産道感染および感染牛の乳汁による感染)
     感染牛から生まれてくる子牛が子宮や産道で感染する確率は4%未満で、感染牛の乳汁の哺乳による感染は6~16%と報告されています。
  2. 水平感染(アブ、ブヨ、サシバエなどの吸血昆虫等)
     連続して吸血するアブやサシバエなどの吸血昆虫が、感染牛を吸血したあと口の周りに感染血液を付着した状態で他の牛を吸血した場合、感染する危険性が増大します。ただし、このウィルスは血液が乾燥すると死滅することから、感染牛を吸血したあと、時間が経過して他の牛を吸血した時の感染率は極めて小さくなります。
  3. 医原性感染(輸血、出血に伴う処置、注射針の使いまわし)
     虚弱子牛に対する栄養補給の目的での感染牛からの輸血、感染牛に対して耳標の装着、蹄病、除角、去勢などに使用した器具を消毒せずに他の牛の処置に使用した場合や、1本の注射針もしくは1枚の直腸検査用手袋で感染牛を含む複数頭の牛に使用した場合にも感染することが考えられます。

3、感染予防のための対策

  1. 垂直感染からの防止
    • 可能であれば感染牛からは子をとらないことですが、どうしても子をとる場合は、出生後必ず子牛の血液検査を実施して、感染の有無を確認しましょう。
    • 感染牛の母乳は子牛に与えないことです。しかし、どうしても感染牛の初乳を与える場合は、マイナス20℃で一度凍結させるか、56℃で30分加温させることでウィルスを不活化させてから給与しましょう。
  2. 水平感染からの防止
    • 感染牛を隔離しましょう。また、健康牛は防虫ネットなどで防護し吸血昆虫からの感染を防ぎましょう。
  3. 医原性感染の予防
    • 感染牛からの輸血はしないようにしましょう。
    • 耳標装着、蹄病、除角、去勢などに使用した器具は洗浄し、通常の消毒液で消毒するか、乾燥させてから使用しましょう。
    • 注射針や直腸検査用手袋の使いまわしはしないようにしましょう。

4、清浄化に向けて

 清浄化するには、飼養牛の全頭血液検査を実施して感染牛を特定・隔離し、健康牛への感染を防止した上で計画的に淘汰しましょう。牛を導入する際は感染の有無を確認することで新たな感染牛を増やさないことが重要です。

症例等写真

わき腹のリンパ節が腫れている症例

わき腹のリンパ節が腫れている症例

あごのリンパ節が腫れている症例

あごのリンパ節が腫れている症例

内臓リンパ節が腫大している症例

内臓リンパ節が腫大している症例

異常なリンパ球の増加

異常なリンパ球の増加