技術情報

マイコプラズマ乳房炎の防除対策について

 乳房炎の原因となるマイコプラズマは10種類程度が知られていますが、菌種によって病原性が異なります。そのうちの3種類(ボビス、カリフォルニカム、ボビジェニタリウム)は病原性が高く、乳房炎の原因菌として重要で、特にボビスとカリフォルニカムは伝染性が強く、注意が必要です。

感染経路

 主な感染経路は、通常の細菌と同じく乳頭口から侵入して感染しますが、他に、肺炎の鼻汁や分娩後の悪露、慢性関節炎の関節腔内から分離されることが古くから知られており、これら感染した臓器から血行性に乳房へ移動して感染することがあります。ひとたび乳房炎を発症すると、牛床や敷料を汚染し、搾乳時に作業者の手指や搾乳機械を介して次々と伝染していきます。

症状と発見方法

 マイコプラズマは普段行っている乳房炎の細菌検査では発見できません。その症状は、泌乳停止に陥るような重症になるものから、症状をほとんど示さない軽症例まで様々ですが、重度な乳房炎が続発して、乳房炎軟膏による通常の治療に全く反応せず、通常の細菌検査で原因菌が検出されない場合、マイコプラズマ乳房炎を疑って検査することも考えましょう。
 平成21年度より、十勝農協連で定期的なバルク乳スクリーニングが行われており、これによって発見される場合もあります(十勝農協連によるマイコプラズマ検査)。バルク乳検査で陽性となった場合には、検出されたマイコプラズマの種類の特定を行って対応方針を決定します。病原性の低い種類であれば継続的なバルク乳検査等の経過観察で落ち着く場合もありますが、病原性の高い場合では全頭検査などで陽性牛を特定し、速やかに隔離するようにします。

対処方法

 マイコプラズマ性乳房炎対策の基本は、検査で陽性牛を発見し、隔離することにあります。陽性牛の隔離後もバルク乳検査等のモニタリングは定期的に実施します。陽性牛は、症状の有無や重症度、妊娠の有無等によって治療するかを決定し、治療後は必ず再検査して治癒判定を行います。重症の個体は治療に反応しない場合が多く、また治療しても効果が無い個体は、感染拡大を防止するためにも淘汰が推奨されます。未経産牛や乾乳牛、導入牛は分娩後に随時検査を行い、対策期間が終了するまでは、乳房炎発症牛は通常の細菌検査に加えてマイコプラズマの検査も合わせて行います(図)。
全頭検査以降の手順