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馬の消化管寄生虫について

 子馬の消化管に寄生虫が感染すると、増体が悪くなるだけでなく、疝痛を引き起こし最悪の場合は死亡してしまいます。今回は寄生虫の種類と駆虫についてお話します。

寄生虫の種類

 主な馬の寄生虫には馬回虫、普通円虫、葉状条虫があります。それぞれ寄生する場所が異なっており、それに伴う病態も異なります。

    ◯馬 回 虫 糞便中の虫卵を経口摂取することで感染します。胃もしくは小腸で孵化した幼虫は小腸粘膜から侵入して、血管を辿って肝臓、肺、気管を通って咽頭(のど)に移動した後、再び飲み込まれて小腸に寄生しそこで成虫となります。大量に寄生すると小腸を閉塞させることがあります。
    また、肝臓や肺の内部を移動する際に周囲の炎症を引き起こします。
    ◯普通円虫 糞便中の虫卵が外界で幼虫となり、草に付着することで馬に採食され感染します。大腸粘膜から血管に侵入し、腸管に血液を送る血管の根元に血栓をつくりそこに数か月寄生して発育します。その血栓が腸管への血行を阻害し腸管を壊死させることがあります。血栓内に寄生していた成虫は、再び血管内を移動し最終的に大腸粘膜に寄生します。
    ◯葉状条虫 糞便中の虫卵がササラダニに食べられ、ダニの体内で幼虫が発育し、その幼虫を持ったダニを草とともに馬が採食して感染します。成虫は主に盲腸に寄生し、大量に寄生すると盲腸の穿孔や破裂の原因となり、腹膜炎を引き起こす可能性があります。

駆虫薬について

 寄生虫を予防するためには駆虫が必要となります。なお、下の表に駆虫薬の成分と駆虫可能な寄生虫を示しましたので参考にして下さい。

※近年イベルメクチンに耐性をもった馬回虫が出現しているため、複数の駆虫薬で定期的に駆虫することを推奨します。詳しくは獣医師にご相談願います。

〔駆虫プログラムの一例〕

 生後30 日イベルメクチン→生後60 日ピランテル→生後90 日ベンダゾール→ 9 月~ 10 月頃イベルメクチン・プラジクアンテル合剤

 放牧後何カ月も経ってから初めて駆虫薬を与えると、大量の寄生虫の死体が腸管に詰まって疝痛を発症するリスクが高まりますので、定期的に駆虫することを勧めます。特に子馬は母親の糞便を食べるので、分娩前後の母馬の駆虫が重要です。

参考文献:馬臨床学(緑書房) 新馬の医学書(チクサン出版社)

     Equine Sports Medicine and Surgery (Saunders)