技術情報

哺育子牛の呼吸器病対策について

 子牛の呼吸器病は子牛の病気の約半分を占める病気です。(図1)症状は食欲不振、発熱、発咳、鼻汁、呼吸数の増加などで、子牛の発育を妨げ、重症化すると死に至ります。年中発生しますが、特に寒くなる10月頃から増加します。(図2)

図1:平成27年度十勝NOSAI子牛の病傷初診事故内訳

図1:平成27年度十勝NOSAI子牛の病傷初診事故内訳

図2:平成27年度十勝NOSAI子牛の月別呼吸器病発生頭数

図2:平成27年度十勝NOSAI子牛の月別呼吸器病発生頭数

原因

 寒冷や移動などのストレスは子牛の免疫力を低下させるため、病原体に感染し呼吸器病に罹患しやすくなり、さらに糞尿から発生するアンモニアは、病原体の侵入を物理的に防いでいる気道の粘膜にある防御機能を弱め、呼吸器への病原体の侵入を容易にします。また、ミルクの誤嚥や敷料に含まれる粉塵・カビが原因となる場合もあります。

治療

 罹患牛は、まず、他の牛への感染防止のために隔離し、寒冷時には保温をしっかり行い、抗生物質や抗炎症剤などで治療いたします。また、重症化すると治りにくくなるので早期発見・早期治療が重要ですので、毎日、子牛の様子を観察し、いつもと違ったら体温を測って早めに対処しましょう。

対策

 出生した子牛は呼吸器予防ワクチンの接種により免疫を獲得するまでに呼吸器病の発症が多いことから、出生時に良質な初乳を給与し、ストレスの軽減など飼養環境の整備が最も重要です。次のことを参考に子牛の呼吸器病を予防しましょう。

<呼吸器病対策のポイント>
① ストレスの軽減 ② 換気 ③ 清掃 ④ 保温 ⑤ 十分な栄養

  • 密飼いはストレスとなるばかりでなく、ひとたび呼吸器病が発生するとすぐに蔓延しますので子牛がゆっくり休める環境を作りましょう。
  • 離乳・移動・除角などストレスのかかる作業を行うことで著しく免疫力が低下することから、これらの作業はできるだけ同時に行うのではなく、作業する日を分けて行いましょう。
  • 哺乳および飼料給与による十分な栄養摂取はもちろんのこと、カーフジャケットやヒーターなどによる保温(写真)と、換気による新鮮な空気供給およびアンモニアの発生を抑えるための敷料の頻繁な交換を行いましょう。
  • ミルクの誤嚥や敷料に含まれる粉塵・カビが原因の場合には哺乳方法や敷料の種類の変更を検討しましょう。
  • 呼吸器病の予防として子牛への注射もしくは鼻腔内のワクチン接種や分娩前の母牛へのワクチン接種による母乳を介しての免疫力増強も行われていますが、同時に飼養管理の改善を行わなければワクチンによる効果を最大限に発揮して病気の発生を抑えることはできません。
写真:カーフジャケット着用とヒーターによる保温

写真:カーフジャケット着用とヒーターによる保温