技術情報

牛ウイルス性下痢・粘膜病(BVD-MD)とその対策について

BVDとは

 本病は、BVDウイルスによって引き起こされ、下痢などの消化器症状、呼吸器病、発育不良、泌乳量低下、流死産、先天性異常子牛の出生など、多様な症状が認められ、発生戸数および発生頭数ともに、近年全国的に増加傾向にあります。感染経路は、感染牛との接触、空気伝播、母牛から胎児への感染が知られており、治療法はありません。
 このウイルスが感染した場合、症状の多くは一過性で回復しますが、妊娠牛が感染すると出生した子牛が持続感染牛(PI牛)となり、次世代の牛に様々な問題を引き起こします。

写真1:発育不良を示す持続感染牛

写真1:発育不良を示す持続感染牛

写真2:口腔粘膜の潰瘍

写真2:口腔粘膜の潰瘍

PI牛が問題!

 妊娠牛がどの胎齢のときにBVDウイルスに感染するかによって胎児への影響が変わってきます(図1)。最も問題になるのは、胎齢30~150日で感染し、出生子牛がPI牛となる時期です。PI牛とは、まだ免疫機構が出来上がっていない時期に胎児が感染することにより、BVDウイルスを病原体と認識できずに自分の体の一部と思い込んでしまうため(免疫寛容)、鼻汁や糞尿等に大量のウイルスを排菌し続ける牛のことです。慢性的な下痢や肺炎のため、発育不良を引き起こすことが多く、その多くは1歳未満で死亡しますが、時に無症状のまま経過することがあります。このPI牛が大量のウイルスを排菌することで、他の妊娠牛に感染が拡大し、新たなPI牛を産出するという悪循環をもたらし、牛群内および農場間の感染を広げ、流産や死産、繁殖障害など、大きな問題を引き起こします。

図1:BVDウィルスの胎児への影響

図1:BVDウィルスの胎児への影響

BVD・MD清浄化対策

 基本的なBVD-MDの対策として、①早期摘発(流産が増えた、発育不良の牛がいる場合など)、②侵入防止(導入牛の検査、妊娠牛導入の際は出生子牛の検査も必要)、③感染予防(ワクチンなど)が挙げられます。十勝管内では、十勝農協連など関係機関が協力しBVD-MD清浄化対策事業を平成27年度から29年度にかけて実施しています(図2)。
組合員の皆様と、私たち関係機関が力を合わせて、管内全域のBVD-MDの清浄化を達成していきましょう。

図2:BVD検査の流れ

図2:BVD検査の流れ