技術情報

海外研修より(第3回)

ミシガン州の酪農でベースとなる考え方(2)

酪農のサイクルとステージ

 第二回では予防とプリベンションの違い、牛群をマネジメントすることについてお話ししました。今回はマネジメントについてさらに具体的に考えてみましょう。
 酪農は図1のように「哺乳・育成期」と「泌乳・乾乳期」の2つのサイクルをぐるぐると回っています。
 なぜアメリカの牛群は良い状態で揃っているのか?それは餌だけの問題ではありませんし、遺伝子だけの問題でもありません。前回お話ししたように「個体の集合」としてではなく、「牛群」として捉えて、それぞれのステージでしっかりとマネジメントされているからです。
 少し例を挙げるとすれば、子牛は良質な初乳を適切なタイミングと量で給与し免疫を得る。哺乳量を一日9L 以上与えて栄養を充足させ骨格を作る。換気の良い衛生的な環境を整え風邪を引かないようにする(写真1)。育成牛は授精時にその牛が分娩する時に事故が起こらないような適切な体格が完成している。カウコンフォートを整え、移行期の栄養状態を管理して、弱い牛が食べられず痩せて、強い牛ばかり食べて太ることのないようにする(写真2)。繁殖を管理して受胎の遅れから泌乳期間が延びて太りすぎないようにする。乾乳期の飼養管理を整え良質な初乳を出す。そして各ステージで「個体」ではなく「牛群」として捉え、統一した方法で管理します。そうすると牛の一生のサイクルを良好にすることができ、健康な状態を保ち良い生産性を維持できるのです。


図1:乳牛の一生

 では皆さんの農場ではどうでしょうか。
 初乳の質・タイミング・量が適正でなく必要な抵抗力が得られない。哺乳量が少なく低栄養状態になる。換気が上手くできず風邪が蔓延する。育成牛の体格が小さいまま授精をして、分娩時に難産になる。難産からの回復が遅れて、次の繁殖が遅れる。泌乳後期が長くなり太る。乾乳期の飼養管理が適当でなく不調になる。分娩後の初乳の質が悪く産まれた子牛が必要な免疫を得られない。など、どこか一つまたは複数のステージで管理がうまくいかず、悪循環に陥ってしまっている牛が少なからずいるのではないでしょうか。そうすると個々で健康状態が異なっているので、一部で“ 同じ管理”をしても病気になる牛や生産性の低い牛ができるのです。そしてそれらの個々の牛の集合を管理することは、群管理とは呼べません。全ての牛たちを良い状態のサイクルに乗せるには、もちろんそれぞれの農場によって異なるので一概には言えませんが、各ステージで改善しなければならない管理があります。
 各ステージの改善を行い良好なサイクルで牛群を管理する為には様々な技術や知識が必要です。そこでその技術や知識を使う為には、【KGI・KPI理論】と【PDCAサイクル】と呼ばれる考え方が特に重要となります。これらはビジネス用語で目標達成のために広く使われています。次回その二つについてさらに解説します。

(坂上・大和田)


写真1:換気が良く衛生的な牛舎

写真2:乾乳直前の揃った牛群