技術情報

海外研修より(第1回)

はじめに

 十勝NOSAI の数ある研修の1つに、海外研修があります。昨年までの11 年間、米国のミシガン州立大学へ毎年獣医師が数名派遣され、ミシガン州の酪農や獣医師の仕事について学んできました。そこで、これまでの研修で積み重ねた様々な情報を組合員に還元し十勝酪農のさらなる発展に役立たせる為に、ミシガン州の酪農の優れたシステムや考え方について連載形式にて紹介します。皆さんの情報収集や実践の一助になれば幸いです。

第1 回 ミシガン州の酪農から受けた印象

 まず、ミシガン州の酪農について説明します。ミシガン州は十勝とほぼ同緯度にあり、気候が似ていて冬場はマイナス30 度近くになります。基幹産業は農業で、酪農もとても盛んです。ミシガン州は総乳生産量が全米6位、1頭当たりの平均乳量(年間11,947kg)は全米1位で十勝の約1.3 倍と非常に優秀な酪農地帯です(表1)。牛群は大型化傾向ですが97%は個人経営で、平均頭数は244 頭と身近に感じる方もいるかと思います。
私達が数件の牧場を訪れて驚いたことが、牛の状態がとても良好でかつ体格が揃っているということです。牛達のBCS(ボディコンディションスコア)が3.25 程で揃っており、太っている牛や痩せている牛がおらず、肋が張っていて毛艶も良いのです(写真1,2)。そして、床の汚れに対して牛体が綺麗なことも驚きました。さらに、これほど乳量が出ていても病気が非常に少ないのです。
例えば340 頭搾乳・平均日乳量40kg・体細胞数6万以下のある農場では、第四胃変位は年間6 頭で、これでも多い方だと言っていました。また、3,900 頭搾乳・平均日乳量40kg の巨大な農場では、訪問した日の乳房炎のサンプルは1本だけでした。別の3,400 頭搾乳農場では1 日25 頭子牛が産まれますが、下痢や肺炎で悩まされることはなく、その結果子牛がこじれることはほぼ無いとのことでした。

では、何故そこまで良い状態を保つことができるのでしょうか。皆さんの中には「餌が違うんでしょ」と思う方がいるかもしれません。ではミシガン州の餌を十勝の牛に与えれば同じように牛が良い状態になるのでしょうか?私達はそうは思いません。次回、なぜここまでミシガン州の酪農が上手くいっているのかについて、私達が考察するベースとなる考え方を紹介します。

(坂上・大和田)

ミシガン州
(研修資料より)
十勝
(畜産統計2018より)
酪農家戸数 1,505戸 1280戸
搾乳牛頭数 427,000頭 (全米8位) 127,000頭
1 戸当たり
平均搾乳牛頭
244頭/戸 110頭/戸
総乳生産量 507万t (全米6位) 119万t
1 頭当たり
平均乳量
11,947kg /頭 (全米1位) 9,379kg /頭
表1

写真1

写真2