技術情報

アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理

家畜のアニマルウェルフェアに配慮することの意義

 近代の畜産は、生産性の向上、効率化をし続けてきた結果、規模拡大が進み、農家1戸当たりの飼養頭数が増え続けてきました。そのため、家畜をゆっくり観察している時間が取れないのが今の多くの畜産現場の現状であり、疾病の増加、繁殖性や生産寿命の低下、環境汚染などが問題になってきています。家畜の飼養管理を行う上で、家畜を快適な環境で飼養することは、健康な家畜から安全・安心な畜産物を消費者へ提供することにつながり、また、家畜の持っている能力を最大限に発揮させ、結果的に生産性の向上にも結びつくことになります。
 アニマルウェルフェアとは、単に畜舎整備を整えるだけではなく、家畜の健康を保つために、家畜の快適性に配慮した飼養管理を生産者が考慮し、実行することを意味します。

写真1:飼槽側にゴムマットを設置した事例

写真1:飼槽側にゴムマットを設置した事例

写真2:暑熱対策にスプリンクラーを設置した事例

写真2:暑熱対策にスプリンクラーを設置した事例

牛の快適性の向上

 牛にとってのストレスの要因として「温度」「換気」「飼養スペース」「扱い方」「飼料や水」などが考えられ、ストレスを緩和することは、快適性を向上させることにつながります。
具体的な方法として、

  1. 家畜にとって快適な温度を保つ:ミストの噴霧と換気扇による畜舎の冷却、子牛にジャケットを着せる。
  2. 換気を適切に行う。
  3. 飼養スペースの適切な管理・設定:天井からの採光や換気扇の設置、カウブラシを用いた身づろい、畜舎を清潔に保つ。
  4. ていねいな扱い。
  5. 良質な水や飼料の給与:飼槽や水槽のチェックと清掃。

などが挙げられます。

 近年の畜産は、経済効率を追及してきた結果、アニマルウェルフェアは置き去りにされてきました。家畜は経済動物だからこそアニマルウェルフェアにも配慮する必要があり、アニマルウェルフェアレベルが高い農場ほど、疾病が少なく生産性が高いという報告もあります。実現可能なところからアニマルウェルフェアに取り組んでみてはどうでしょうか?

写真3:体幅が広くなる乾乳牛にスタンチョンの幅を広げた事例

写真3:体幅が広くなる乾乳牛にスタンチョンの幅を広げた事例

写真4:天井を高くし換気を良くした事例

写真4:天井を高くし換気を良くした事例