技術情報

子牛下痢症の対策~下痢5種ワクチンの効果

 2013年の技術情報で「子牛の下痢を引き起こす病原体」を紹介しました(詳細は十勝NOSAIのホームページから見ることができます)が、様々な病原体が下痢を発症させます(表)。子牛下痢症対策には、分娩管理、初乳給与、施設、給餌技術、栄養管理、ワクチン接種、乾乳牛の飼育管理など、多岐にわたりますが、今回は対策の一つとして、下痢5種ワクチンについて紹介します。

分類 病原体 発症時期 死亡率 特徴
細菌 腸管毒素性
大腸菌
1~3日齢 5~25%

サルモネラ菌 

4週齢以内 菌型により75%以上 高熱、便に血が混じることがある

ウイルス

ロタウィルス

5~7日齢 5~60% 大腸菌との混合感染で致死に至る場合がある

コロナウィルス

1週齢程度 高い

寄生虫

コクシジウム

2週齢~育成期 低い 便に血が混じることがある
クリプト
スポリジウム
3日齢~4週齢 低い 下痢が1週間以上持続

下痢5種ワクチン

 下痢5種ワクチンは、妊娠期の母牛に接種して免疫し、分娩後の初乳を介して母子免疫により子牛の下痢を防ぐワクチンです。ワクチンは、1ヵ月間隔で2回筋肉内に接種し、1回目は分娩予定日の約1月半前に、2回目は分娩予定日の半月前に接種します。ただし、前年にこのワクチンを接種した牛は、分娩予定日の半月前に1回の接種で効果を発揮します。ワクチンには、下痢症の原因とされているロタウイルス、コロナウイルス、大腸菌を不活化したものが含まれていますが、寄生虫やサルモネラ菌には効果がないので注意が必要です。

ワクチンによる下痢対策

 図はある酪農家の出生頭数と腸炎の発生件数を月ごとに示したもので、分娩の多い7月と、極寒期の2月に発生件数が増加していました。下痢5種ワクチンは利用されていましたが、散発的にしか接種しておらず、接種忘れもある状況でした。しかし、下痢5種ワクチンの接種を分娩予定牛全頭に実施するようにしたところ、翌年3月以降腸炎の発生が減少し、分娩が多く気温の上昇する8月や極寒期の2月においても発生は見られませんでした。これは、子牛が気温などのストレスにより免疫能の低下が起きても、初乳を介して母子免疫により下痢の発生を抑え、腸炎の診療が減少したと考えられます。

図:出生頭数と腸炎発生件数

ワクチン接種における注意点

 接種する時期に確実に接種すること、出生子牛に十分な初乳を給与することが大切です。ご利用を検討されるにあたっては、最寄りのNOSAI獣医師にご相談ください。