技術情報

牛の骨折に対するプレート内固定手術について

 現在、牛獣医療における四肢の骨折では、経済的、技術的なことを考慮してキャスト(ギプス)を用いて治療することが一般的です。まれに、キャストによる強固な固定ができない骨折は予後不良と診断される可能性が高くなります。しかし、最近では、キャスト固定ができない部位の骨折に対して、金属プレートを用いて固定する手術が牛獣医療にも普及しつつありますので紹介いたします。

プレート内固定手術

 皮膚を切開して骨折した部分を露出させ整復し、金属製のプレートを骨にあてて、スクリューで固定する手術です(写真)。キャスト固定できない部位の骨折にも適応することが可能で、骨折の完全な整復と強固な固定を目指すことができる治療法ですが、全ての骨折が適応となるわけではありません。まずは骨折部位の状態、患畜の全身状態、体重などから手術適応かどうか獣医師による診断が必要です。プレート内固定手術のメリットとデメリットを表に示しましたので、骨折治療の参考にして下さい。

術後管理の注意点

 皮膚を切開して、牛の体にとっては異物となる金属プレートを体内に留置する手術ですので、術後は感染に注意しなければなりません。また、骨折部位は衝撃に弱く、継続的な荷重によりプレートが金属疲労を起こして破損することもあります。そのため、術後は運動を制限し衛生的な環境で飼養管理する必要があります。
 治癒後、プレートを牛の体内に残したまま飼養する場合は、売却や屠場への搬入の際は金属プレート残留の情報を報告することが必要です。

 

※ 現在、当組合でプレート内固定手術設備があるのは一部の診療所に限られています。手術の可否や費用に関しましては最寄りのNOSAI 獣医師までご相談ください。

表:プレート内固定手術のメリットとデメリット
メリット デメリット
* キャスト固定できない部位の骨折にも適応可能
(ただし、適応可能かどうかは獣医師による診断が必要)
*骨折の完全な整復と強固な固定が期待できる
*早期のより良い運動機能の改善が期待できる
*キャスト固定に比べて治療費が高価
*全身麻酔設備と麻酔を施す獣医師が必要
*技術習得した複数の獣医師が必要
* 成長した体重が重い牛では金属プレートが体重に耐えることができない
*治癒後、プレートを除去する場合は再手術が必要