技術情報

排卵後の子宮を確認していますか?~交配性子宮内膜炎について

 馬のお産シーズンが始まり、受胎に向けて動き出す時期になりました。近年はエコー技術の進歩により発情発見の精度が高まり、交配の回数を減らす事ができるようになりました。交配する回数を減らすことは種馬の負担を軽減するだけでなく、交配時の精液や子宮内へ混入する異物によって引き起こされる「交配誘導性子宮内膜炎」のリスクを減らすことにもなります。

対処法

 交配誘導性子宮内膜炎は交配翌日のエコー検査により子宮内の貯留液の有無を確認することで診断し、図1のように画面中央に黒く見える貯留液が直径2㎝以上あると本症と診断しています。この場合、子宮洗浄の後に抗生物質等を投与する処置が一般的ですが、現場では衛生的に処置が行えないことがあり、このような症状を呈する馬では子宮の自浄作用が弱まっていることがあるために子宮洗浄を行うと、子宮内に洗浄液を貯めてしまい、好転しない場合があります。そこで近年用いられているのが、子宮内への抗生物質の注入とオキシトシンの頻回投与を併用する方法です。
図1:排卵直後の子宮

図1:排卵直後の子宮

具体例

 排卵確認後に抗生剤を子宮内注入し、オキシトシン2㎖(20単位)、その後6~12時間おきにオキシトシン1~2㎖(10~20単位)を2~3回注射します。図2は1回目のオキシトシン投与後約1時間の画像ですが、まだ大きな変化はありません。しかし24時間経過後の画像(図3)では黒い貯留部分がなくなり、ほぼ正常な状態に戻っていることが分かります。
ただし、注射の回数が多いため、保定する事が難しい馬では保定の負担が大きいという点、排卵後3日以上経っている場合では早期流産の危険があるという点は注意が必要です。
図2:オキシトシン投与から約1時間後の子宮

図2:オキシトシン投与から約1時間後の子宮

図3:最初のオキシトシン投与から約24時間後の子宮

図3:最初のオキシトシン投与から約24時間後の子宮

 交配誘導性子宮内膜炎の治療では子宮洗浄は有効な方法ですが、子宮洗浄でも効果がない場合や、子宮洗浄ができない場合などには、獣医師に相談してこのような対処法を利用してみてはいかがでしょうか。