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子宮内膜炎について

 乳熱や産褥熱、ケトージスなどの周産期病は、その後の繁殖成績に影響を与えることが知られています。今回は、繁殖に影響を及ぼす大きな要因の一つである子宮内膜炎に注目します。

分娩後の子宮修復と子宮内膜炎について

 分娩直後の子宮は、胎児がいた写真1.jpg汚れた粘液(写真1)左右どちらかの子宮角が大きく、子宮頸管(産道)も広がっていることから、子宮内には細菌が多数存在し、子宮自体も炎症が起きているのが普通の状態です。しかし、時間の経過とともに子宮内の細菌は排泄され、正常な子宮へ修復していきます。通常は、分娩後5週までに左右の子宮角の太さは同じになり、40~45日頃には子宮の修復は完了します。
 一方、難産や死産、後産停滞、乳熱や産褥熱、ケトージスなどの周産期病に罹患した牛は、子宮内膜炎になるリスクが高くなります。分娩後3~4週経過しても、膣内から膿汁あるいは膿性粘液を排出している場合、子宮内膜炎(臨床型)と診断されます(写真1)。また、中には臨床症状を伴わない潜在性子宮内膜炎もあり、臨床型子宮内膜炎は乳牛の5~25%が、分娩後4~5週において罹患しているのに対し、潜在性子宮内膜炎は30%以上が分娩後4~8週において罹患していると言われています。

汚れた粘液(写真1)

子宮内膜炎の治療と対策

臨床型子宮内膜炎は、畜主や人工授精師、獣医師が気づきやすく、子宮洗浄、PG製剤の投与、薬液の子宮内注入などの治療を行いますが、潜在性子宮内膜炎では症状を見せず、直腸検査や超音波検査でも異常所見を見つけることが難しいことから、正確に診断するためには子宮内膜の組織を調べなければ判断できず、酪農現場で活用できる実用的な検査方法をいろいろ検討されているのが現状です。
 そのため、分娩からの経過を記録しておくことは、子宮内膜炎リスクを評価するうえで重要な判断材料になります。繁殖台帳には、分娩時の状況や後産停滞の有無などを記録する欄がありますので、ぜひ活用してみてください(写真2)。

参考図書:臨床獣医臨時増刊号「続・新しい牛の繁殖」, 緑書房(2018)

記録は大事な情報です(写真2)