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リピートブリーダー対策について

 近年、乳牛における繁殖成績の低下は大きな問題となっています。その中で、卵巣・子宮に異常がなく、発情周期も正常であるにも関わらず受胎しない“ リピートブリーダー“ の問題は無視できないものとなってきています。そこで今回はリピートブリーダー対策として、人工授精AI)後に行なえる受胎率向上方法について紹介したいと思います。

牛が妊娠するためには

 牛が妊娠するためのカギはプロジェステロンとインターフェロンタウです。プロジェステロンは排卵後に形成される黄体から分泌されるホルモンです。人工授精後5 日目以降、不受胎牛に比べて受胎牛ではプロジェステロン濃度が高くなるということが知られており、受胎に必要な環境を整えると考えられています。一方、インターフェロンタウは受精卵から放出される物質であり、母牛へ妊娠を認識させていると考えられています。

GnRH、hCG

 前述のとおり、受胎するためには排卵後の黄体形成とそれに伴うプロジェステロン濃度の十分な上昇が必要であることから、排卵を誘起する性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)やヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を人工授精後5 ~ 7日目に投与し新たな卵胞を排卵させ黄体を形成することでプロジェステロン濃度を高め、受胎を促進させることができます。しかしhCG はGnRH にくらべ効果が高くコストも安いですが、hCG に対する抗体が作られるため連続使用すると効果が弱くなる点に注意が必要です。(図-1)

図1.GnRH、hCG

シダー

 プロジェステロン製剤である膣内留置型黄体ホルモン製剤(シダー)の膣内挿入も受胎率向上を図ることができます。人工授精後5 日目にシダーを膣内に挿入し、2 週間後(人工授精後19 日目)に抜去します(モディファイドファストバックプログラム)。不受胎の場合は抜去2 日後に良好な発情の回帰が得られて授精できるという利点があります。(図-2)

図2.シダー

追い移植(ET)

 人工授精を行った後7 日目に受精卵を移植する方法も受胎率の向上が見込めます。受精卵から放出されるインターフェロンタウが、母牛への妊娠認識を行うことで受胎が促進されると考えられています。前述のGnRH、hCG やシダーとの併用を行うことで、より高い効果が期待できます。(図-3)

図3.追い移植(ET)

☆これらの方法に興味のある方は最寄りのNOSAI 獣医師までご相談ください。