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ビタミン足りていますか

 みなさんもビタミンという言葉はよく耳にする機会があると思います。炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラルなどと同じく生物にとって不可欠な栄養素の一つです。しかし、ビタミンは体内で合成することがほとんどの場合できないため、何らかの形で摂取することが必要とされています。種類によっては過剰な場合に悪影響があることは知られていますが、欠乏つまり足りないことで家畜においても様々な症状を現すことがあります。今回はその中でも身近なものについて紹介します。

ビタミンB1(チアミン)

 糖の代謝に必須なビタミンで牛などの反芻獣では欠乏することにより、活動の際に糖を必要とする脳にダメージを与え、立てない、痙攣、意識不明など重篤な神経症状を示すことがあります(大脳皮質壊死症:写真1)。元々反芻獣は胃の中でビタミンB1を合成することができますが、離乳や粗飼料の変化によりこれを分解する菌が増えることで欠乏に陥ると考えられています。治療はビタミンB1を投与することですが、連続して発生がある場合は飼料の見直しや添加剤の使用が必要です。
写真1:大脳皮質壊死症を発症した子牛

写真1:大脳皮質壊死症を発症した子牛

ビタミンEおよびセレン

 セレンはビタミンではありませんが、ビタミンEと関連性が高く、どちらもいわゆる抗酸化作用を有します。欠乏によって引き起こされる病態として白筋症(写真2)があります。白筋症では牛、馬、豚、羊、家禽で筋肉が変性、破壊されます。そのため初期症状では下痢、重症例では歩行困難、起立不能、心臓の筋肉に及ぶと突然死を引き起こすこともあります。十勝においても土壌、飼料中におけるこれらの含有量が少なく時折発生がみられるので注意が必要です。治療や予防としては子、または分娩前の母体への製剤の投与や添加剤の使用などがあります。
写真2:白筋症を発症した子牛

写真2:白筋症を発症した子牛

ビタミンD

 腎臓などで主に作られ、腸からのカルシウムの吸収を促すとともに骨からの動員も含めカルシウムの血中濃度の調節に重要です。また日光を浴びることにより活性化される性質があります。欠乏により子牛ではくる病、成牛では骨軟症を引き起こします。分娩時の低カルシウム血症の予防という点でも非常に重要とされています。

気になる症状が見られたら

 この他にもビタミンA欠乏による肥育牛の肉質低下や眼障害など、各種ビタミン欠乏により様々な症状がみられることがあります。
 酪農畜産分野においても私達が活用するサプリメントと同様に多種多様なものを添加して栄養を補っていると思いますが、場合によっては口から補給するだけでは改善が難しいこともありますので、気になる症状がみられた際には最寄りのNOSAI獣医師までご相談下さい。