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呼吸器病ワクチンを利用していますか?

前回は牛下痢5種混合不活化ワクチンを紹介しましたが、今回は呼吸器病ワクチンについて紹介します。子牛の病気の約4割を占める肺炎は、一年を通じて発生し、生産性を低下させ、大きな経済損失をもたらします(図1)。健康に成長していくためには肺炎を起こさせないことが重要です。

ワクチン接種の必要性

 出生直後の子牛は、自分自身で免疫を作る力が不十分なため、初乳を飲むことで母牛から移行抗体をもらって疾病を予防します。この移行抗体は日齢が進むにつれ徐々に効果が弱まり、一般的に2~4か月齢には消失してしまいますが、この間に子牛は様々な病原体と接触することにより、体内で抗体をつくり始めます。
移行抗体は、母牛がどれだけ病原体に接触したかで抗体量が変わるので、初乳中の抗体量が少ない母牛の初乳を飲んだ子牛や、初乳の摂取が不十分な子牛では免疫力が不足し、その結果、移行抗体消失後におきる免疫の低下から体調を崩す子牛が少なくありません。
このことから子牛の免疫力を高める方法として、初乳の抗体量を増加させる目的で親牛に、移行抗体消失後の免疫を補う目的で子牛にそれぞれワクチンを接種することが推奨されています。

ワクチンの種類

 ワクチンには2種類があります。生ワクチンは、ウイルスや細菌が生きている状態で、接種しても発病させない程度に病原性を弱くしたもので、免疫効果が高いのが特徴です。一方、不活化ワクチンは、病原体を薬剤で処理し感染性をなくしたもので、生ワクチンより安全性が高いのが特徴です。また、接種方法も従前の注射によるもの以外に出生後数日で接種可能な鼻腔内投与型のワクチンも使用されています。
ワクチンのターゲットとなる病原体には細菌とウイルスがあり、また、使用に際しては、妊娠牛や授精予定牛など、接種に制限がある場合があるので、ワクチンの選択および接種のことについては最寄りのNOSAI獣医師にご相談ください。

肺炎に限らず、子牛の病気の発生は、子牛の飼養環境や栄養状態に大きく影響され、適正な飼養管理や飼養環境の整備が欠かせません。それと合わせてワクチンを有効に活用しましょう。