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子牛の突球について

 突球とは、先天性屈曲異常のことを言い、臨床現場では“ ナックル” と呼ばれています。ナックルの多くは蹄のつま先で着地し、重度なものは球節で着地することもあります。今回はその対処法を紹介します。
平成29 年度の十勝NOSAI における子牛のナックルは乳牛の雌等で342 件起こっており、出生頭数あたりの発生率は約0.3%と子牛の疾病の中でも少なくない病気です。ナックル342 頭(雄248 頭、雌94 頭)のうち治癒213 頭、廃用67 頭、予後不明62 頭となりました。以上のことを踏まえると、雄に多く発生し、生産性に影響を与えると考えられます。

 

原   因

 骨と腱の成長速度の不均衡、遺伝的な素因、子宮内における異常姿勢、などが考えられています⑴。
また、ナックルは前肢球節に多く発生することが報告されています⑵。

治 療 法

1. 物理的な伸長
 ナックルが軽度で、つま先で着地できる場合、物理的な伸縮をしてあげます。
  ⅰ . 適度な力で屈曲部位を踏んで伸縮させます。
  ⅱ . 歩ける場合は運動させます。

2. ギプス固定
  ⅰ 簡易的なギプスの使用: ナックルが軽度であるが、歩行や起立に難がある場合、フレックスストップスプリント(FSS)を
    使用します(写真1)。ギプス固定に比べ着脱が容易であり、2 ~ 3 日に1 回締め直すことで伸縮を促すことができます
   (写真2)。軽度な症例であれば1 ~ 2 週間の装着で治ることが多いです(写真3)。

写真1 フレックスストップスプリント

写真1 フレックスストップスプリント

写真2 両前肢のナックルにFSS装着

写真2 両前肢のナックルにFSS装着

写真3 FSS装着後

写真3 FSS装着後

  ⅱ ギプス:重度なナックルに適応されます。ナックル部分をまっすぐに伸ばし、患肢を固定します。目安としては2 週間
    程度、ギプス固定を行い、その後治癒判定を行います。また、ナックルが重度で、2 週間のギプス固定で完全に治癒し
    ない場合は、再度ギプス固定を行う場合もあります。

3. 腱切断術
  ナックルが重度で起立困難な場合、浅深屈腱切断術やそれらの支持する靭帯を切断する方法があります。

 ナックルの症状は軽度なものから重度なものまで幅広くあります。
 特に重度ナックルの治療には、ギプス固定や外科的な処置が必要な場合があります。
 判断に迷った場合は、各診療所の獣医師にご相談ください。

〈参考文献〉
⑴ Rashmi, Tamilmahan P, Prabhakar R and Priyadharshini :Surgical management of congenital fl exor tendon deformity in calves:
A review of three cases. Journal of Entomology and Zoology Studies 2018; 6(3): 544-546
⑵  Anderson DE, Desrochers A, St Jean G : Management of tendon disorders in cattle, Vet Clin North Am FoodAnim Pract,24
(3),551-566( 2008)