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レプトスピラ感染症について

 レプトスピラ(写真)という細菌の名前を聞いたことがあるでしょうか?病原性を示すレプトスピラは大きく分けて13種あり、血清型では250種類以上に分類される細菌です。今回はその血清型の中でもハージョと呼ばれる血清型の細菌に関する情報を提供します。

写真:レプトスピラ菌

 

血清型ハージョの特徴と影響

 血清型ハージョは諸外国では牛において広く浸潤し、対策や予防が一般的に行われています。国内で家畜が原因となった感染例は報告されていませんが、人のレプトスピラ症は、人獣共通感染症として重要な疾病の1つと考えられています。

 血清型ハージョが牛に感染すると、発熱、食欲不振といった明らかな全身症状は示しませんが、流産や胚死滅といった繁殖への影響が出ると言われており、仮に農場内に細菌が侵入しても気づかない可能性があります。

 国内では、この感染症を耳にする機会が少ないですが、過去に国内の酪農場のバルク乳を調査した結果、約30%の農場で血清型ハージョの存在が確認されています。

 抗体陽性牛と陰性牛の繁殖成績を比べた調査では、抗体陽性牛は、陰性牛に比べて30日程度受胎が延長したという報告もあります(図)。

図:繁殖成績への影響

 

血清型ハージョの予防・対策

 PAG検査などを利用して、授精後30日程度で妊娠を確認していた牛が、授精後40~50日に獣医に見せると妊娠していないという経験はないでしょうか?このようなことが何となく多いと感じる場合、血清型ハージョ感染による胚死滅が関係している可能性もあります。また、受胎率が低い、それに伴って授精回数が多いといった農場では、一度バルク乳の抗体検査を行っても良いかもしれません。

 バルク乳で抗体陽性だった場合の対策としては、ワクチンの使用があります。ワクチンを使用して感染を予防していくことで、受胎率の改善や胚死滅の発生減少が期待できるかもしれません。

検査やワクチンに関して興味がある方は最寄りのNOSAI獣医師までご相談下さい。

 

参考文献

●菊池直哉ら(2013):わが国の乳牛におけるレプトスピラ症の抗体調査, 日獣会誌66, 463~467

●小泉信夫ら(2013):牛レプトスピラ症の最新情報 後編「人獣共通感染症としてのレプトスピラ症~牛の繁殖障害および人への感染源としての側面~」, 臨床獣医31(5)39~42