技術情報

デントコーンサイレージについて

 今年の秋は天候が不順でデントコーンの刈り取り時期には台風がきて結構あちらこちらでデントコーンが倒伏しました。が、なんとか上手く調整できたでしょうか?この文章が読まれる頃には今年のデントコーンサイレージをそろそろ給与し始める時期だと思います。
 さて、牛の自給飼料の中でデントコーンサイレージはエネルギー供給源、牧草は蛋白供給源と考えます。また、乳量はエネルギーと蛋白のバランスによって決定されます{ TDN(エネルギー)330g+CP(蛋白)70g=牛乳1Kg }。以上の点を踏まえ、デントコーンサイレージの給与の注意点について一言述べたいと思います。
 十勝地方において、特に帯広市を中心とする土地条件の良い畑作兼業地帯では採草面積が少なく、自給飼料として牧草より収量の多いデントコーンが多く作付けされています。言い換えれば、牧草を少なくデントコーンサイレージを多給与することにより、乾物摂取量を充足させる傾向にあります。これが前述したエネルギーと蛋白のバランスが崩れる原因となります。これは分娩予定日の3週間前(クローズアップ期、又は移行期)から分娩後約1ヶ月過ぎまでの牛に悪影響を与えます。特に分娩から分娩後の約1ヶ月の間において牛は通常の乾物摂取量の70%程度しか摂取できません(もちろん1ヶ月かけて徐々に増加します)。更にこの時期はエネルギー及び蛋白の要求量が高い時期であります。この時期にデントコーンサイレージを多給与し、配合飼料を乳量に合わせて給与すると、牧草をほとんど食べられず結果的に著しく粗濃比が低下し、消化不良を引き起こし軟便となり食い止まりになります。その結果、ケトーシスや第4胃変位などの周産期疾病を招きます。せっかく乳がいっぱい出ていると思って給与したエサが逆に牛の胃袋を傷めてしまうのです。

 それじゃどうしたら良いか?と言いますと、前述した通りエネルギーと蛋白のバランスを整え、粗濃比が低下しない様な給与メニューを考えます。しかも牛の生理的な食い込める量は時期的に制限されています。以上の条件を満たすエサは、濃度が高く(エネルギーと蛋白が豊富という意味)粗濃比が良好かつ繊維も十分含まれているエサです。
 そのためにはデントコーンサイレージを多給与せず少なめとし、早刈りの牧草(音更なら6月10日位までの刈り取ったチモシーでしょうか)を十二分に食い込ませる事が必要なのです。
 早刈りの牧草の良い点はエネルギーと蛋白が共に高く、消化性の高い繊維が豊富なため、その分配合飼料給与量を減らす事ができるのです。その結果として胃にやさしいエネルギーと蛋白を供給できかつ粗濃比を高めることができるので、良好なルーメン発酵を促す事ができます。
 以上の事から分娩後1ヶ月位までは、エネルギーと蛋白のバランス、そして粗濃比を低下させないことが疾病予防や高泌乳生産を可能にし、結果的には繁殖効率も向上させるのです。

 最後に、土地条件や飼養頭数など様々ではあります。できるできないは別として、デントコーンサイレージの給与量を抑え、早刈り牧草を十二分に食い込ませる給与メニューを実践してみるのを将来的な経営戦略の選択肢として考えてみてはどうでしょうか?