技術情報

乳検情報の利用について(Part2)

前回の技術情報では乳生産についての見方を考えてみました。今回は、繁殖の情報と個体別診断情報の見方を再確認してみましょう。

今月の繁殖成績

 検定日での繁殖成績を初産、2産、3産以上、未経産に分けて集計しています。

未授精牛の表(初回授精の目標は50日~85日)
  未授精牛
対象頭数 分娩後日数
~49日 50~85日 86日~
経産牛 1産 4 3 1
2産 2 1   1
3産 21 13 6 2
合計 27 17 6 4
未経産牛  24 13~16ヵ月 16ヵ月
5 19

この表では、授精適期の経産牛は3産以上の牛で6頭、未経産牛で5頭、また、初回授精が遅れている牛が経産牛が4頭、未経産牛で19頭いることがわかります。

授精中牛の表
  受精中牛 初回受精日数 受胎牛
対象頭数 受精回数3回以上頭数 115日以降受精牛頭数 対象頭数 平均受精回数 受精回数3回以上頭数 初回受胎率 分娩間隔 空胎日数 発情発見率 受胎率 妊娠率
経産牛 1産 6 2 2 84 15 2.0 3 40 13.0 115 67 50 34
2産 12 8 8 94 8 2.9 4 25 15.7 200 41 34 14
3産 18 2 8 86 23 2.1 7 48 13.5 131 53 48 25
合計 36 12 18 88 46 2.2 14 41 13.7 131 55 45 25
未経産牛  18ヵ月~ 月数
16 16 1.3 1 81 65 77

授精中の牛のみが対象ですが、最新授精後90日以上経過した場合は受胎と見なしています。対象頭数が36頭で授精回数3回以上の牛が12頭、115日以降授精牛が18頭ですが特に2産以上の牛でその割合が高く、初回授精日数も遅くなっています。2産目の牛に何か問題がありそうです。115日以降授精牛とは、分娩間隔が13ヶ月以上になってしまう牛です。

受胎牛の表
受胎牛
対象頭数 平均受精回数 受精回数3回以上頭数 初回受胎率 分娩間隔 空胎日数 発情発見率 受胎率 妊娠率
15 2.0 3 40 13.0 115 67 50 34
8 2.9 4 25 15.7 200 41 34 14
23 2.1 7 48 13.5 131 53 48 25
46 2.2 14 41 13.7 131 55 45 25
16 1.3 1 81 65 77  

受胎牛とは受胎報告が無くても、最新授精後90日以上経過した牛です。
目標値(平均授精回数1.5回、分娩間隔13ヶ月、発情発見率70%、受胎率60%、妊娠率35%)
ここでも2産目の牛が平均授精回数2.9回、初回受胎率25%、分娩間隔15.7ヶ月と繁殖状況が悪いことが判ります。

発情発見率

 初回授精から受胎までの発情発見率です。
発情発見率は(授精回数/授精可能な発情回数)X100と言う式で求めますが,授精可能な発情回数は、((空胎日数-初回授精日数)/21)+1で計算します。発情発見率が低いと言うことは、発情の見逃しが多い事につながります。

妊娠率

 (発情発見率x受胎率)で計算します。
発情発見率を左右する要因としては次のような事が考えられます。

  1. 人の要因
    ・発情の見方・観察回数と時間
  2. 環境の問題
    ・運動場の足場・運動無しで繋留している場合
  3. 牛の要因
    ・飼料のエネルギーバランス・ボディコンディション・健康状態
空胎日数の表
  最小空胎日数 前産次     
  対象頭数 空胎日数 平均空胎日数 平均分娩間隔 対象頭数 空胎日数
平均空胎日数 平均分娩間隔
~84日 85日~ 115日~ 145日~ ~84日 85日~ 115日~ 145日~
1産 21 4 10 1 6 116 13.0 22 6 4 4 8 153 14.1
2産 20 2 4 2 12 188 15.4 27 6 6 4 11 148 14.1
3産以上 41 12 10 5 14 124 13.3 35 4 6 9 16 159 14.5
合計 82 18 24 8 32 138 84 16 16 17 35 154 14.3
分娩間隔の目安 ~12ヵ月 12ヵ月~ 13ヵ月~ 14ヵ月~       ~12ヵ月  12ヵ月~   13ヵ月~ 14ヵ月~    

空胎日数(目標115日以内)

 空胎日数が115日を越える場合は分娩間隔が13ヶ月以上になってしまいます。この表で特に気になる所は、145日以上の牛が32頭と対象頭数の約40%いることです。個体の確認が必要です。

初回授精日数の表
  最近3ヵ月 今産次     
  対象頭数 初回受精日数 平均(日) 対象頭数 初回受精日数
平均(日)
~49日 50日~ 85日~ ~49日 50日~ 85日~
1産 6 3 3 87 21 13 8 84
2産 6 3 3 93 20 10 10 94
3産以上 15 6 9 87 41 21 20 86
合計 27 0 12 15 88 82 0 44 38 88

初回授精日数(目標85日以内)

 殆どの牛が50日~85日に有るのが理想です。初回授精が遅れている牛の個体をチェックし対策を考えましょう。

初産分娩月例の分布表
  対象頭数 初産分娩月数 平均(ヵ月)
~23ヵ月 24ヵ月~ 25ヵ月~ 27ヵ月~
経産 109 13 38 41 17 25.3
1産 25 1 8 12 4 25.5
最近3ヵ月 4 2 1 1 25.9
推定 16 10 2 4 25.9

初産分娩月齢(目標24ヶ月)

 経産→1産→最近3ヶ月→推定の順に平均月齢の数値が小さくなるのが理想です。しかし、授精を早く行えば良いと言うことでは有りません。14ヶ月前後で授精できるフレームサイズを作らなければなりません。初産分娩月齢が遅れている牛群は育成管理に問題があると言えます。

更新率と育成頭数の表

育成牛の頭数

牛群の更新率

(%)

20 40 44 48 51 55 59 62 66
22 44 48 52 56 61 65 69 73
24 48 53 57 62 66 70 75 79
26 52 57 62 67 72 76 81 86
28 56 62 67 72 77 82 87 92
30 61 66 72 77 82 88 94 99
32 65 70 76 82 88 94 100 106
34 69 75 81 87 94 100 106 112
初産分娩月数 22 24 26 28 30 32 34 36

更新率と初産分娩月齢をもとにした100頭の牛群サイズを維持するのに必要な育成牛頭数

 この表からも判るように一定の牛群サイズを維持する為には初産分娩月齢が遅れるとより多くの育成牛を持たなくてはなりません。例えば、更新率30%の牛群で初産分娩が24ヶ月の場合育成牛は66頭ですが、28ヶ月になった場合77頭持たなければ100頭の牛群を維持できなくなるわけです。飼料代、労力の面からも大きな負担になります。

個体別診断情報

 通常個体別診断情報は検定番号順に表示されていますが、乳量順、分娩後日数順でも表示することが出来ます。ここでは、検定番号順と分娩後日数順の見方を比較してみましょう。検定番号順で表示されている場合が殆どであると思いますが、この場合その個体を探しやすく成績を確認するのには適しています。

検定番号 検定情報
乳量(kg) 乳脂率(%) 乳蛋白率(%) P/F比 MUN(mg/di) 乳糖(%) 無脂固形(%) 体細胞数(×1000/ml) 群番号 初産分娩後1日当り乳量(kg)
今月 前月差 今月 前月差
82 39.8 -8.4 3.2   3.1 97 14 4.4 8.4 400   26.7
95 25.5 -4.8 3.7 0.1 *2.9 78 11 4.4 8.3 80   21.2
122 31.2 -3.8 3.7 0.3 3.0 81 19 4.7 8.7 22   25.9
153 29.3 -5.7 3.7 0.4 3.4 92 16 4.1 8.5 1290   27
159 42.8 8.7 3.6 -1.0 *2.7 75 6 4.4 8.1 912   31.6
168 40.8 0.3 4.3   3.0 70 17 4.7 8.6 32   28.6
169 38.1 -2.6 3.6 0.1 3.1 86 14 4.5 8.6 98   28.3
検定番号 繁殖管理情報
産次数 分娩後日数 分娩年月日 初回授精日数 授精回数 最新授精月日 空胎日数 乾乳予定月日 分娩予定月日 前産次  愛称又は生年月日
空胎日数 乾乳日数
82 11 111 01/10/24 59 2 2/3 102     271 131 881104
95 10 188 01/08/08 80 1 10/27* 80 6/3 8/2 138 109 900218
122 7 220 01/07/07 74 2 12/13* 159     119 54 921217
153 6 *174 01/08/22 91 2 1/24 155     124 76 940513
159 6 45 01/12/29           146 61 941014
168 4 148 01/09/17 105 1 12/31 105     386 54 950718
169 5 *168 01/08/28 75 1 11/11 75 6/18 8/17 106 54 950602

分娩日数順

検定番号 検定情報
乳量(kg) 乳脂率(%) 乳蛋白率(%) P/F比 MUN(mg/di) 乳糖(%) 無脂固形(%) 体細胞数(×1000/ml) 群番号 初産分娩後1日当り乳量(kg)
今月 前月差 今月 前月差
229 24.0 7.3   3.4 47 10 4.1 8.5 386   32.4
262 36.3 5.1 3.0 59 9 4.5 8.4 74   24.8
240 20.4 4.6 3.7 80 6 4.4 9.1 340   24.9
226 50.4 4.2 *2.5 60 8 4.7 8.2 22   27.2
300 46.8 4.6 3.9 -1.5 3.1 79 10 4.5 8.6 32   29.0
292 46.2 7.2 3.4 -0.8 *2.8 82 8 4.5 8.3 54   30.0
221 58.2 0.6 3.5 -0.1 3.0 86 11 4.7 8.7 12   28.6
173 *42.0 -12.4 3.7 0.5 *2.8 76 15 4.7 8.4 41   33.2
182 39.4 -3.8 3.9 0.1 3.3 85 15 4.6 8.9 28   24.1
322 *27.8 -5.6 3.8 0.2 3.5 92 9 4.8 9.4 *780   30.3
検定番号 繁殖管理情報
産次数 分娩後日数 分娩年月日 初回授精日数 授精回数 最新授精月日 空胎日数 乾乳予定月日 分娩予定月日 前産次  愛称又は生年月日
空胎日数 乾乳日数
229 4 10 02/02/02       279 93 951206
262 3 21 02/01/22 205 94 970116
240 4 22 02/01/21     76 39 970210
226 4 28 02/01/15     237 59 960512
300 2 36 02/01/07           124 51 981224
292 2 51 01/12/28     72 58 981226
221 4 *85 01/11/24 124 46 981016
173 5 *105 01/10/30             171 59 950729
182 5 114 01/10/21 103 1 2/1 103     142 29 950822
322 1 153 01/09/12 75 1 11/26* 75 7/3 9/1     990712

 一方分娩後日数順に表示されている場合はどうでしょうか。個体を探すには少し面倒かもしれません。しかし、その牛群全体の状態を各泌乳ステージ毎に見ることが出来るので、各泌乳ステージの乳量・乳成分の変化から飼養給与の状況や、繁殖状況が把握できます。例えば泌乳初期~泌乳最盛期の乳脂率や乳蛋白率が低い場合繊維不足・エネルギー不足が有るとか、泌乳初期で乳脂率が高い傾向にある場合はエネルギー不足になっていて体脂肪を動員していることが考えられます。この場合分娩後の乳量の立ち上がりが悪い状況にあったり、食欲が思うように回復しない場合には脂肪肝になっていることも推測されます。分娩後まだ授精をしていない牛や妊娠を確認していない牛もこの表を見ると判るため、繁殖チェックシートや要注意牛リストを見なくても問題牛の確認が出来てしまいます。

◎前回からこの技術情報では乳検情報の見方を簡単に説明してきましたが、乳検情報は自分の牛群を把握し、管理する上での情報の宝庫です。私達が牛群検診で訪問しお話を聞いていると、乳検情報の体細胞の項目は確認されているようですが、その他の情報に目を通していない方が多いようです。せっかく毎月貴重な情報が提供されているわけですから、それを活用しない手は有りません。乳検情報をあまり見ないのは数字がたくさん並んでいて見ても判らないと思ってはいないでしょうか。全体を漠然と眺めてしまうと結局何も判らないままになってしまうかもしれません。先ず、ポイントを絞って乳検情報を見てみましょう。そうすれば、乳検情報から今自分の牛群がどのような状況にあるのかを把握できるようになります。