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繁殖成績向上フローチャート

最近、どうも繁殖成績が思わしくないと感じていませんか?そこで、今回は基本的なことから見直して、繁殖成績向上の役に立てて頂こうと企画しました。
まず、次のフローチャートを参考に、自分の牛群のどの部分に問題があるか、当てはめて見て下さい

適期授精実施について
発情発見方法の見直しについて
栄養充足について(エネルギー蛋白バランス)

授精適期の考え方


注意

運動場に出せず、スダンディングを確認できない場合は、上記のサインに気をつけて総合的に判断します。

スタンディング発情をとらえるためには運動場に出して観察する。
1日2回朝なるべく早い時間と夜なるべく遅い時間に観察する。
1回の観察時間は20分以上とする。
その他発情発見率を上げるコツは、牛がスタンディングし易い足場を作る。
牛を移動させる時によく観察する。
補助器具を利用する。

発情発見の見直し

  • 分娩後60日までに初回発情を見つけられない人
  • 育成牛を生後15ヶ月までに授精できていない人
  • 初回発情は来るが、その後周期的に発情を見つけられない人

上記に該当する方はこのページで基本的な事から整理して行きましょう。

通常、牛の卵巣における卵の発生から排卵までには60日ほどかかります。この間に病気(乳熱・ダウナー・ケトーシス・脂肪肝等)になると、この卵は不良になり受胎しずらくなります。このことを考えて、以下の事についてチェックしてみましょう。

乾乳期はすくなくとも前・後期の2群に分け、分娩予定前3週間の後期(移行期ともいいます)には、濃厚飼料3~4kgに良質な粗飼料を給与し、泌乳期に対応できる飼養管理をしていますか。

  • 分娩後の濃厚飼料給与は3~4日で1kg程度の増給ですか。
  • 濃厚飼料のピークは分娩後30~40日になっていますか。
  • 掃き寄せなどに気を使い、飼槽に常に飼料があるように注意していますか。
  • 牛舎環境などに配慮して牛の快適性に注意していますか。

このような管理が適切になされて授精期を迎えることが必要です。

①一般的な授精適期
経産牛 分娩後60日以降
初産牛 分娩後80日以降
分娩後の早すぎる授精は、受胎率も低く、その後の受胎成績も良くありません。

②初回発情の時期
成乳牛 分娩後50日前後まで
育成牛 生後15ヶ月齢まで

③発情兆候
a)一番の発情兆候とは
→スタンディング(他牛を乗せる行為)と言うものです。
次がマウンティング(他牛に乗る行為)と言い、これは発情の初期の行為です。
その他として鳴いたり・人に寄って来たりします。

b)発情の二次兆候として
→粘液漏出、外陰部の腫脹・弛緩・充血、、乳量の減少、食欲の減少、などがみ
られます。
発情の判断には、ひとつの兆候でなく3つくらいの兆候を確認する事をお勧めします。

④ 発情の時間

最近の多くの報告によると、スタンディング発情の持続時間が短くなっています。
20年前では10時間以上ありましたが、今日では7~8時間以下になっているようです。しかし、二次兆候を含む発情持続時間は、20~30時間ありますので、有効に観察しましょう。

 この図はスタンディング発情の時間帯別の発現割合を示しています。夕方から早朝にかけ、スタンディング発情兆候を現している事が分かります。以上から、発情観察は、早朝と晩遅くが良い事が理解できると思います(1日に2回、必ず20分以上必要です)。

◎どうしても発情がわからない時は繁殖検診を受診してください。

栄養充足(エネルギー蛋白バランス)

 乳牛の栄養利用の優先順位は、繁殖が最後です。次の図に従って栄養が充足されないと発情もわかりずらく、そして餌の給与量でなく、実際にどれだけ食べているか、すなわち採食量を見ることが重要なポイントです。

 栄養面では乾物摂取量を最大にすること、栄養バランスをとることが大切です。これらを比較的簡単にチェックできる方法をこれから説明します。

BCSの推移

正常な乳期推移をしている牛群のBCS

回復が遅れている牛群のBCS

 BCS(ボディコンディシションスコア)は泌乳最盛期に低くなり、それから回復していくのが正常な推移です(左図)。これが泌乳中期になっても回復のない状態はみられませんか? これはエネルギー不足・乾物摂取量不足(採食量不足)が原因です。右図の例では、泌乳中期の痩せている牛は、老齢で慢性炎症のある牛でした。

旬報で乳蛋白とMUNをチェック

 毎月3回、乳量・乳成分等が記載された旬報は、乳成分・MUN(乳中尿素窒素)の推移でエネルギー・蛋白のバランスをチェックできます。

①乳蛋白率
 バルク乳で3.1%以下はエネルギー不足と考えられます。エネルギー不足は黄体ホルモンの不足につながるという報告があるように、ホルモンの失調で妊娠の維持が出来なくなり早期胚の死滅が起こりやすくなると言われています。また、乳脂率の低下(バルク乳で3.6%以下)が同時に見られるときは、乾物摂取量の不足を示し、何らかの要因で採食量が低下しています。蹄病、関節炎、乳房炎などが増えていないかを確認してみましょう。

②MUN(乳中尿素窒素)
 蛋白とエネルギーのバランスを反映します。飼料給与では、下図のように分解性蛋白と可溶性炭水化物の採食バランスを反映します。高すぎるときは、血中のアンモニアも高くなり、その影響で授精後の早期胚の死滅や繁殖障害が多くなるといわれています。北海道ではバルク乳で10~14mg/dlが適正範囲とされています。注意点として、1回の数値で判断するのではなく、少なくとも3回ぐらいの推移を見てください。
 また、適正範囲から外れている場合は、飼料の給与スケジュールから栄養バランスの偏りがないかを確認してみましょう。

(提供:北海道NOSAI )