技術情報

乳牛の改良講座 交配プログラム編

はじめに

 以前、このホームページに掲載された(乳牛の遺伝改良を10倍楽しむ方法)と言うのがありましたよね?読んで頂けましたか? あの掲載を理解して頂いたところで、皆さんの乳牛改良をより現実的に近づけるための方法をお教えします。前回の掲載の後も人工授精の時にどの精液を付けるかと聞かれて「なんでもいい」と答えていませんか? 他の仕事が忙しくて人工授精の立会いを祖父、祖母まかせだったり、または年に4回も種雄牛評価成績が出るので覚える前に種雄牛が入れ替えになる事もあり「ついていけない」と言う声も聞かれます。中には「補助金の付く種雄牛にして」と言われるケースもありますが改良は大丈夫なのかな? と心配になる事もあります。近い将来、皆さんの経営を支える大切な牛たちですから皆さんの経営にプラスになるような改良をしていきましょう! そのための一助となる”交配プログラム”をご説明します。

交配プログラムとは?

 あまり聞きなれない言葉だと思いますが、種雄牛評価成績が公表されてからのプログラムなので、もう何年も前から進められてきています。概要は、近親交配を避けるのは当然の事として、皆さんの求める牛群を作るため、乳検成績と専門家の個体評価をもとにコンピューターに情報を入力して、各個体に一番改良効果のある種雄牛を選ばせるシステムです。一度に選出できる種雄牛は3頭です。乳検データからは個体毎の父牛、乳量、脂肪率、蛋白率、無脂固形率を入力します。専門家の個体評価とは、皆さんの牛舎に専門家が出向き牛を1頭1頭の体型をチェックして、その個体の改良しなければいけないところを見つけます。改良の必要度合いにより、0、1、2と評価します。2が付くと要改良となり、0はそのままでよいこととなります。個体評価の項目は、基本的に種雄牛の評価成績と同じ項目を評価し入力します。更に、皆さんの希望する能力・体型・搾乳性・種雄牛の選定範囲や精液の価格・供給割合などをすべてコンピューターに入力すれば、自動で全ての項目をクリアできる種雄牛を3頭選んでくれます。しかしながら一度の交配で全てが改良されるわけではありません。乳量・体型のどの部分に要改良のマークがついているかがポイントで、その優先順位にもとづいて選出されます。では、なぜ専門家に個体評価してもらうのか?の疑問がありますよね? 毎日自分の牛を見ているから「自分が一番わかっている」という方がほとんどだと思います。しかし、毎日見ていても自分の牛の欠点にはなかなか気づかないものです。第3者の冷静な目で評価してもらうのが一番良いと思いますし、ホルスタイン協会の個体審査のデータも、このプログラムに入力することが出来ます。種雄牛の選定に関しては、診療所や農協の授精所で選定している推奨精液を利用するのが基本ですが、インターブルの評価値を使い輸入精液を含めて活用するのが望ましいと思います。

交配プログラムの活用

 交配プログラムが届いたら、雌牛データ入力表(別表1)を見てみましょう! 乳検番号順で配列された表の中に、1や2がついていると改良を要する部位です。2は特に改良を要する部位です。その表を見て、実際に該当牛を見てみると納得することが出来るでしょう。また、一番下にはその牛群の中で改良を要する注意頭数と割合が出ているので牛群の特徴がつかめると思います。次に交配種雄牛一覧表(別表2)を見てみましょう! 選出された種雄牛の体型評価値と雌牛の要改良点が同じであることがわかります。もし違っている場合は能力に改良を求めたものと考えられます。更にこの表は使う皆さんの希望でいろいろなパターンで出力可能であり、輸入精液版や推奨精液版、国内精液版などニーズに応えてくれるでしょう。でも、これはあくまでも参考材料と考えていただきたいと思います。

交配プログラムはどこでやってくれるのか?

 道内各授精事業体では交配プログラムを出来る専門技術員(審査員)を養成し対応しています。料金設定は各事業体により様々で、その事業体の種雄牛が中心というところもあるようです。できればすべての種雄牛(輸入精液を含む)を含んでいるプログラムを作成していただきたいと思います。これがあれば、毎回人工授精の都度に「種雄牛をなににするかな?」と悩まなくても済みます。しかし、年に4回も種雄牛の評価成績がかわるので、最低年に2回はこのプログラムの修正が必要です。料金に関しては各事業体に聞いてもらうのがよいと思いますが、投資としては高くない金額だと思います。また、一度の交配ですべてが改良されるものではありません。2代、3代と改良が必要となりますから、10年先をめざして進めていきましょう!

さいごに

 「おもしろそうだな」と思った皆さんは、技術員や授精事業体に相談してみて下さい。自分の牛群を見つめなおす良い機会になると思います。皆さんの牛群の5年後あるいは10年後が楽しみです。