技術情報

ワクチンの話

はじめに

 ワクチンを打つ場面はいろいろありますが、「市場に出すために」、「入牧のために」、「共進会に出すために」など『接種が義務付けられているから』打っていることが多いのではないでしょうか?では、どうして義務付けられているのでしょう?それは・・・もちろん経済的にも被害の大きい危険な伝染病を自分の牧場に持ち込んだり、他の牧場に広げることを防ぐためですね。

伝染病の種類と症状について

そのような危険な伝染病を予防するのがワクチンです。では、どのような伝染病をワクチンで予防できるのでしょうか?

牛伝染性鼻気管炎(IBR)

 高熱の発生。鼻汁、発咳など上部気道の炎症。目やに、眼結膜の充血。子宮、膣の炎症、流産を起こすこともあります。
2003年、十勝で4戸の発生がありました。

黒沢 隆 原図(提供:デーリーマン社)

牛ウイルス性下痢・粘膜病(BVD-MD)

 発熱と呼吸器症状(鼻汁、咳など)・消化器症状(下痢)、受胎率の低下などを引き起こします。胎児感染では流産・奇形児・持続感染牛の発生。持続感染牛は粘膜病を発症します。(持続感染牛:生涯ウイルスを体内に持ってまき散らし感染源となる牛)
2003年、十勝で13戸の発生がありました。一度牛群に入ると経済的な損失はとても大きなものとなります。

松本家畜保健衛生所(提供:デーリーマン社)

牛パラインフルエンザ3型ウイルス感染症(PI3)
牛アデノウイルス7型感染症(Ad-7)
牛RSウイルス感染症(RS)

呼吸器症状(咳、鼻汁)。放牧、輸送時などに集団発生を起こします。

ロタウイルス感染症

子牛で水様性の下痢、脱水。

佐野 公洋 原図(提供:デーリーマン社 )

大腸菌性下痢症

 病原性(K-99繊毛抗原)の大腸菌により子牛で水様性の下痢、脱水を起こします。

小松 勝一 原図(提供:デーリーマン社)

コロナウイルス感染症

子牛、成牛で下痢を起こします。

伝染病の種類と症状について

IBR生ワクチン

IBRの単味ワクチンです。

牛3種混合生ワクチン

IBR、BVD-MD(1型)、PI3の3種類が入ってます。

牛5種混合生ワクチン

IBR、BVD-MD(1型)、PI3、Ad7、RSの5種類が入ってます。

牛5種混合不活化ワクチン

IBR、BVD-MD(1型、2型)、PI3、RSの5種類が入ってます。

牛下痢5種混合不活化ワクチン

ロタウイルス(3種)、大腸菌(K-99)、コロナウイルスの5種類が入ってます。

以上が主に使われているワクチンですが、それぞれに使用にあたって注意すべきこともありますので(リンク参照)、使用にあたっては獣医師に相談して接種するようにしてください。

最後に

 ワクチン接種にあたっては、経済的な負担に加え、牛を捕まえるなど時間的、肉体的負担も生じますが、牛群に伝染病が入り込むとそれらをはるかに越える負担が生じます。「自分の牛は自分で守る」意識を強く持ち、『義務付け』だけでなく積極的にワクチンを使って伝染病の侵入、拡散の予防をしてはどうでしょうか。