技術情報

馬の後産停滞

 今年も馬の分娩が始まりました。最近農用馬では後産(胎盤)停滞が多発しています。後産は通常分娩後2~3時間位までに完全に排出されます。後産の排出が遅れた場合、子宮も回復するのが遅れ、後の繁殖成績に悪影響を与えます。分娩後、後産の排出が認められない馬にはオキシトシンの投与も良い方法です。

胎盤停滞の処置

胎盤停滞の処置

 排出された後産は速やかに馬房の外に搬出し、必ず広げてみて、子宮角の先端部分の端まで全て排出されたか確認が必要です。6時間経過しても排出されない場合はほとんどが停滞を起こします。母馬の外陰部から下垂している後産が馬房内をひきずることの無いよう(後産を踏みつけることによって中途から切れないよう)に、後産を、ひもなどを用いて処理してください。後産が途中から切れ、子宮の奥のほうに一部が残ると、分娩後3~7日目にしばしば重篤な子宮炎と、それに続く産褥性蹄葉炎を引き起こし、時には命に関わる事も有ります。

すべて排出された胎盤

一部破れた胎盤

一部破れた胎盤

一部破れた胎盤

 発熱や食欲の低下等があれば直ちに、全身症状がなくても半日以内に用手除去の必要があります。分娩後の母馬は3~4日間は毎日朝夕検温し、体温の上昇が見られたら、獣医師に相談してください。子馬の娩出にあたり二本の前足と頭が産道に乗っているか確認します。人が介助する場合必ず後下方に引くことが大切です。子馬の頭と前躯が娩出すれば中躯、後躯、後肢は比較的安易に娩出することが多いのですが、最近のように大格馬になると、子馬の腰角が通過しにくい事もあります。娩出直後のまだ切れていない臍帯に触れてみた事がありますか?拍動が感じられるはずです。この拍動があるうちはまだ子馬に血液が送られているのです。臍帯を切らないような介助(両後肢の蹄を産道に残した状態)をこころがけます。また、縛って鋏で切ってはいけません、臍から数センチのところを二ヶ所を持ち引きちぎるように切ります。臍の消毒は十分に行い、数日間は臍の消毒をする必要があります。馬も生き物ですから、湿った汚い環境よりも、きれいで乾燥した環境が好きです。なるべく広い清潔な環境で、お産をさせてあげたいものです。