技術情報

胎児死にかかるアンケートについて

平成16年度より乳牛の子牛共済が始まり、昨年度の胎児引受頭数は155,828頭で、胎児出生子牛の死廃事故頭数は12,309頭(事故率 7.90%)でした。その死廃事故の内訳(グラフ1)から分娩時に胎児が死亡している(胎児死)割合がもっとも多く全体の65%(7,986頭)で、当初予想していた出生後の腸炎および肺炎よりも胎児死が多いことがわかりました。そこで、胎児死と飼養管理状況の関係を把握するためにアンケート調査を行いました。

子牛共済に加入している組合員を対象に、成乳牛飼養頭数100頭を越える群とそれ以下の群に分けた中で昨年度の胎児死の多い群と少ない群をそれぞれ抽出しました。その結果、該当した全252戸の組合員に協力していただきアンケート調査を実施しました。その中で、当初引受胎児頭数に対する胎児死が1%以下の組合員75戸(低被害群)と7%を超える組合員55戸(高被害群)の飼養管理状況を分析しましたので報告します。

各群における成乳牛の飼養頭数別農家戸数(グラフ2)と飼養状況(表1)を分析した結果、高被害群は低被害群と比べ、成乳牛飼養頭数が110頭を超える農場が14戸(25%)と多く、また、農場1戸および従事者1人あたりの飼養頭数は低被害群より多いことから、飼養管理頭数の多さも事故の要因と考えられます。

また、分娩牛を繋ぎ飼いせずに、おり(ペン)にて飼養している農場において同居牛の頭数を比較したところ、分娩牛も含めて4頭以上飼養している農場が高被害群で22戸(65%)、逆に低被害群では11戸(37%)でした(グラフ3)。このことは、おり(ペン)に飼養する分娩牛の頭数が少ないと分娩状態を十分に観察でき分娩時の異常も早期に発見できることを示します。

なお、分娩時の立ち会い状況について調査すると低被害群では分娩の半数以上立ち会う農場が62戸(82%)と高被害群に比べてかなり多いことがわかります(グラフ4)。また、分娩時に必ず膣内に手を入れて胎児の状態を確認する組合員も低被害群の方が多いことがわかりますが(グラフ5)、低被害群の組合員が分娩時の立ち会いが多いことから分娩時の胎児の状態を確認する機会も多いためと考えられます。

最後に、胎児および子牛の死亡事故が実際に多いと思いますかという意識調査においては、高被害群における18戸(32%)の組合員が「少ない」と回答し、「よくわからない」を含めると30戸(55%)の組合員が「多い」と感じていません。逆に低被害群の11戸(14.7%)の組合員は「多い」と回答し、1頭でも胎児死があると気にしていることがうかがわれます(グラフ6)。

次の対策を実施して胎児死を防ぎましょう。

  • お産が近い妊娠牛を見つけたら良く観察しましょう
  • お産のために、清潔で乾いた居心地の良い分娩場所に分娩牛を飼養しましょう
  • お産が始まりそうになったら分娩牛を注意深く監視し、異常であれば、膣内に消毒した手を静かに入れて胎児の姿勢を確認しましょう

    お産は、母牛にとっても、子牛にとっても生産の始まりですので分娩牛の観察を十分に行いましょう。