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子牛のクリプトスポリジウム症とは?

 子牛のクリプトスポリジウム症 は、クリプトスポリジウムという寄生虫がおこす子牛の病気です。この虫に感染した子牛は、ひどい下痢を起こし、早期に発見し治療しないと死んでしまうこともあります。とはいうものの、この虫を退治するための効果的なクスリはまだ開発されていません。そこで下痢による脱水と血液成分の異常を改善するために早く点滴治療をすることが大事です。

クリプト下痢症の症状

感染方法:感染子牛の下痢便が他の子牛の口に入る

発症時期:生後三日齢~四週齢(多くは三週齢まで)

臨床症状:元気・哺乳欲がなくなるのはもちろん、黄色下痢または泥状便によるひどい脱水(眼の周りが落ち込む)。重症例では起立不能や昏睡状態に!

クリプト下痢症に対する治療法

《点滴》
脱水および血液成分の改善が最重要!下痢が続くと水だけでなく体に必要な成分がどんどん便と一緒に出て行ってしまいます。そのために症状や血液検査の値を目安に、失ったものをすばやく補充してあげなくてはなりません。

《便性状の改善》
便性状を回復させることは、点滴を効果的に行うためにも非常に大事です。しかし、クリプトには抗生物質は効きませんし、それを知らずに多用すると子牛に悪影響を及ぼしてしまいます。そこで生菌剤や活性炭などの経口添加剤投与 (団子状にして)を勧めています。副作用や出荷制限はもちろんありません。5例のクリプト下痢子牛に対して経口投与したところ、便性状改善日数と治療日数の短縮が認められました。本剤投与によって、子牛自体の免疫機能が活性化され、腸内環境の健全性が保たれたことにより便性状が改善したと推察されます。

予 防

  1. 哺育牛の隔離飼育、哺育場所・器具の清掃
  2. 下痢子牛の早期発見、完全隔離
  3. 熱湯消毒(72℃-1分、64℃-2分でクリプトは死滅します)

注意点
 クリプトは感染便の中だけでなく土壌にもいる可能性があるため、飼育環境を清潔に保つことは一番の予防策になります。また、症状だけでは他の下痢と区別できませんので、①下痢の子牛が急増する②治療していてもなかなか治らない、などの症状が見られた場合、獣医師にご相談ください。