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分娩介助をする良いタイミングとは?

お産は、分娩房の利用など飼養管理の充実したなかで、母子ともに無事な自然分娩であることが望ましいものです。しかし、分娩房のお産でも、介助が必要になる場面もあります。そこで今回は、分娩介助のタイミングと事故との関係について説明します。

分娩予定日が近づいてきたら・・・

いつもより注意して観察しましょう。

分娩の兆候が見られたら・・・

落ち着きがなくなったり、寝起きを繰り返したりしたら分娩の兆候です。陣痛が始まり、それに伴って産道が徐々に開いてきています。胎子は分娩に備えて体勢を変えているところです。
 この時期は、介助するタイミングではありません。一次破水が起きるまでは、まだ、通常3‐6時間かかります。尿溝にふたをする、清潔でよく乾燥した敷料を多めに入れてあげる等、母牛が安全快適に分娩できる環境を整えてあげましょう。

6時間経っても破水が起こらなかったら…

母牛に陣痛はありますか(いきんでいますか)? 母牛は立てますか?
消毒液で十分に陰部を洗った上、直腸検査用ビニール手袋をつけて、産道に静かに手を入れてみてください。胎子に触れますか? 産道は十分開いていますか?
 すべて問題なければもうしばらく(2時間程度)様子を見てみましょう。
 何か変だなと感じることが少しでもあれば、獣医師に相談しましょう。

一次破水したら…

母牛の陣痛がより一層強くなり胎子が産道内へ進んでくると、胎子を覆う一番外側の袋(尿膜)が破れ、水のようなさらっとした液体が出てきます。これが一次破水といわれるものです。一次破水をする段階では、袋をかぶった胎子の足(足胞)が産道へ進んできています。
 この時期も、まだ介助するタイミングではありません。

写真2 二次破水後に胎児が見えてきたところ

ここまでのタイミングで介助しようとすると…

こんなトラブルが起きる可能性が高くなってしまいます。
u 産道が十分開いていません。→ 難産! 産道損傷!!
u 胎子の体勢が十分でなく、まだ横向きや上下逆さまのままです。→ 難産!!
u 力いっぱい引っ張りがちになります。→ 産道損傷! 胎子の足の骨折!
早過ぎる介助は難産等のトラブル発生の可能性を増加させます。

一次破水後、通常30分‐2時間で二次破水が起こり、子牛が生まれます。子牛を拭くタオルや、臍の消毒用ヨーチンを用意しながら、厳重に観察しましょう。

2時間程度経っても二次破水しないときは・・・

母牛に陣痛はありますか(いきんでいますか)? 母牛は立てますか?
上に書いたのと同様にして産道に手を入れてみてください。子牛の足2本に触れますか?子牛の足は陰部の外に見えてきていますか?子牛の頭または鼻先に触れますか?子牛の上下の向きは正常ですか?産道は十分開いていますか?
すべて問題なければ介助して分娩させましょう。足胞を少し破り、よく消毒した産科ロープ等を使って、陣痛にあわせて無理なく引っ張ります。
何か変だと感じることが少しでもあるときや、介助してもうまく分娩させられないときは、正常な分娩でない可能性があります。獣医師に相談しましょう。

二次破水したら…

陣痛が最大となると子牛の足が産道を抜け、陰部の外に見えるようになります。このころ足胞は破れドロッとした液体が出てきます。これが二次破水といわれるものです。二次破水するとまもなく(通常2時間以内に)子牛は娩出されます。

二次破水後、約2時間経っても子牛が生まれないときは・・・

 母牛に陣痛はありますか(いきんでいますか)? 母牛は立てますか?
上に書いたのと同様にして産道に手を入れてみてください。子牛の足2本に触れますか?子牛の足は陰部の外に見えてきていますか? 子牛の頭または鼻先に触れますか?子牛の上下の向きは正常ですか? 産道は十分開いていますか?
すべて問題なければ介助して分娩させましょう。よく消毒した産科ロープ等を使って、陣痛にあわせて無理なく引っ張ります。
何か変だと感じることが少しでもあるときや、介助してもうまく分娩させられないときは、正常な分娩でない可能性があります。獣医師に相談しましょう。

写真3 子牛が生まれないときは、産道に静かに手を入れ、状態を確認しましょう。

写真4 問題がなければ、陣痛に合わせて、無理なく引っ張ります。

二次破水後、2時間以上産道内に子牛がいる状態が続くと・・・

こんなトラブルが起きる可能性が高くなってしまいます。
u 母牛は体力を消耗します。→産後のいろいろな疾病!!
u 子牛により産道のすぐ横を走る神経が圧迫されます。→起立不能、ナックル!!
u 子牛が酸欠状態になります。→虚弱、死産!!
介助が遅れるといろいろな事故が発生する可能性が増します。

最後に…

分娩に際しては、十分な観察を行うことがなにより重要です。早過ぎず遅過ぎず、適切なタイミングでの介助を心がけ、分娩時の事故を防止しましょう。