技術情報

第四胃変位多発牛群の周産期飼養管理

第4胃変位が多い農場と少ない農場における周産期の飼養管理を調査し、比較検討しましたので報告します。

牛群概要(表ー1)

 同じ地域で隣合わせのA農場とB農場を調査

  A 農場 B 農場
経産牛飼養頭数 46 頭 59 頭
飼養形態 スタンチョン
スタンチョン
飼料作物総面積 25.4 ha 26 ha
牧  草  地 18 ha 20 ha
デントコーン 7.4 ha 6 ha
労働力 2 名 2 名
経産一頭当たり乳量 10,188 kg 10,164 kg
購入粗飼料 ルーサンヘイ ルーサンヘイ
現在の悩み 四変が多い 繁殖がやや悪い

 

乾乳期飼養状況と濃厚飼料給与量(表ー2)

  A 農場 B 農場
乾乳牛飼養状況 搾乳牛と同居 育成牛と同居
馴らし給与 有り 有り
濃厚飼料給与量 乾乳前期(kg/日) 3 kg 3 kg
分娩直前(kg/日) 5 kg 4.5 kg
馴らし給与開始時期 分娩予定日 21日前から 分娩予定日 20~30日前から

分娩後の濃厚飼料給与量(表ー3)

  A 農場 B 農場
分娩直後の濃厚飼料給与量 5 kg 4.5 kg
ピーク給与量 13.5 kg 11.5 kg
ピーク給与量に達する時期 分娩後 15 日 分娩後 30 日
増給速度 566 g/日 233 g/日

 

平成16年度 疾病発生状況(表ー4)

  A 農場 B 農場.
第四胃変位 10 頭 (21.7%) 2 頭 (3.4%)
ケトージス 7 頭 (15.2%) 2 頭 (3.4%)
胎盤停滞 3 頭 1 頭
乳熱 3 頭 4 頭
(起立不能になる前に加療)

 

泌乳曲線の比較

 乳検成績において、各農場の分娩後1回目の検定乳量を標準曲線に当てはめて検討しました。
A 農場においては、分娩後の濃厚飼料増給スピード(表ー3)が早い影響で飛び出し乳量は高いが、ピークの後の乳量が急速に低下しています(図ー1)。また、B農場ではA 農場に比べて分娩後の濃厚飼料増給スピード(表ー3)が遅いため分娩後の飛び出し乳量は低いが、ピーク後の乳量低下が極めて少ないことがわかります(図ー2)。

図ー1 A農場の泌乳曲線

図ー2 B農場の泌乳曲線

 

考察

 A農場とB農場は隣り合わせで、畜主の年齢も共に50代中頃、労働力、飼養環境、給与粗飼料の構成や乳量も極めて似ています(表ー1)。
A農場は、近年、生産乳量増加に伴って周産期疾病が急増し、四変も平成13年には3頭だったが、平成14年に7頭、平成15年に9頭、平成16年になると10頭(表ー4)と多発しています。 B農家は、逆に平成14年の乳量は11,000kgまで延ばしていましたが、周産期の疾病が多発したことで、それまで泌乳期における濃厚飼料の最大給与量は14kgであったのを11.5kgに減らし、産後は牛の状態を観察しながらゆっくり増給すること(表ー3)で事故が減少しました。
今回、両農場の周産期における飼養管理に焦点を当てて比較検討した結果、明確な違いは分娩後の濃厚飼料増給スピード(表ー3)でした。A農場では、分娩後の濃厚飼料の増給スピードが早すぎるために、採食する飼料の粗飼料割合が低下してしまい、第四胃変位の発生を増加させていると考えられます。