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第四胃変位(四変)発症による経済的損失

はじめに

 『1頭四変を出すと、経済的損失はどれくらいだろう?』と疑問に思ったことはありませんか?そこで、ひとつの四変発症した牛群に焦点をあてて、乳量の減少や牛乳の廃棄などによる経済的損失を試算してみました。

四変の発症

 TMRを給与するフリーストール大規模牛群における四変発症例です(表1)。A牛は約24ヶ月齢で初産分娩し、分娩後11日目で四変を発症(発見)して手術されました。四変を発症しなかったB・C・DおよびE牛は同じく約24ヶ月齢で、A牛の分娩日前後10日間に初産分娩していました。

表1

生年月 分娩 四変
A 平成15年8月 平成17年9月8日 9月19日発症・手術
B 平成15年10月 平成17年9月6日  なし
C 平成15年9月 平成17年9月7日  なし
D 平成15年10月 平成17年9月9日  なし
E 平成15年10月 平成17年9月15日  なし

乳量の減少および牛乳の廃棄にともなう経済的損失

 分娩後のA牛の日乳量と、B~E牛の平均日乳量をグラフ1に示しました。A牛は四変発症(発見)数日前から乳量が減少し、手術後は回復したものの、B~E牛の平均乳量には追いつきませんでした。その差を損失乳量として、棒グラフに示しました。なお、分娩後6日間の牛乳(初乳)は出荷しないものとして損失乳量から除外し、また手術後4日間は抗生物質投与による休薬期間のため牛乳を廃棄するものとして全量を損失乳量としました。その結果、分娩後36日間(牛乳出荷30日間)における損失乳量は281.25kg、金額にして19,688円になりました(乳代を70円/kgと仮定)。

損失乳量・日乳量(kg)

その他の経済的損失

 その他に、四変の手術にともなって、カルテ初診料840円、四変手術料58,320円(共済カルテ点数を金額化)、手術室までの運搬料5,150円、合計64,310円が経費としてかかりました。

表2

損失乳代(分娩後36日まで) 19,688円
カルテ初診料 840円
四変手術料 58,320円
手術室までの運搬料 5,150円
合計 83,998円

まとめ

 今回の試算で、四変による経済的損失は、分娩後36日間で83,998円になりました(表2)。乳代に限ってもおよそ2万円と、決して少ないものではありません。また、今回考慮していませんが、四変により廃用・淘汰になる牛も多く、発情回帰や受胎が遅れる可能性も高いと思われます。今こそ『四変なんて、ハラ切ればすぐ良くなるわ』から一歩前進して、四変発症の原因を究明し、飼養管理をもう一度見直すときではないでしょうか。