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馬について

Q1、馬において、分娩後の胎盤停滞予防のためのオキシトシン注射のタイミングは?

「胎盤が排出されない馬に対して、分娩後1時間目からオキシトシン50IUの筋肉内投与を行い、胎盤が排出されるまで1時間ごとに反復投与する(2003年、石井三都夫博士、学位論文要旨)。」という方法が、現在最も適切な方法として推奨されています。

Q2、正常に生まれた子馬ですが、乳を飲まないときはどうしたらいいのですか?

元気な子馬は生後2時間以内に起立し、6時間以内に哺乳を始めると言われています(三宅・佐藤共著「農用馬増産の手引き」)。

子馬の自力哺乳を促すためには次のような方法があります。
  1. 浣腸をする・・・胎便の排泄を助けることによって、消化管の機能を呼び起し、子馬の哺乳欲を促します。市販の浣腸液を常備しておくと良いでしょう。
  2. 初乳を搾り子馬に含ませる・・・初乳を人間用の哺乳瓶などに入れて子馬に含ませ、自力哺乳を促します。この時、起立させて親馬の乳頭のすぐ傍でこれを行うことが効果的です。
  3. 哺乳姿勢を維持させる・・・過大児や四肢の異常で哺乳姿勢が保てない子馬には、矯正具などを取り付けて起立姿勢を補助しなければならない場合があります。経験豊富な生産者や獣医師に相談すると良いでしょう。
  4. 栄養剤等を投与する・・・それでも自力哺乳しない子馬は、何らかの理由で体力が低下している可能性があります。獣医師に相談して、栄養剤やビタミン剤の注射など、子馬の体力を回復させる適切な処置を施してください。
  5. 「乳付け」はあせらずに・・・親から直接自力哺乳できない子馬には、体力維持のために2時間間隔で200ml程度の人工哺乳が必要になります。そのつど親の乳を搾り、人間用の哺乳瓶などを用いて与えます。哺乳間隔を短くしすぎると子馬が空腹にならず、かえって自力哺乳の意欲が上がらないこともあります。子馬をよく観察しながら、あせらず、辛抱づよく「乳付け」を成功させましょう。

Q3、子馬が初乳を飲んだ後、ぐったりして粘膜が黄色くなってしまったのですが、どうしてですか?

原因のひとつに、新生児黄疸が考えられます。
新生児黄疸の原因:母馬と子馬の血液型が合わない場合、妊娠中の母馬に胎児の赤血球に対する抗体ができてしまい、出生後に子馬がこの抗体を含んだ初乳を飲むと、子馬の赤血球が壊されてしまうことで起こります。
新生児黄疸の症状:黄疸という名の通り、粘膜が黄色(初期は貧血により白くなります)になり、子馬は貧血でぐったりし、死亡する場合もあります。症状は初乳摂取後、数時間~数日に現れますが、一般に早く症状が現れた場合は重症とされています。
新生児黄疸の予防:過去に発症した子馬がいた場合、再び、その母馬の子は(たとえ種牡馬を替えたとしても)高率に発症する可能性がありますので、分娩前に、他の馬の初乳を用意しておきましょう。

Q4、馬の喉嚢炎について教えてください。

喉嚢は咽喉頭部の上部に左右一対あり、拳ほどの広さです。喉頭背側の左右にそれぞれあるフラップ状の喉嚢入り口が、気道内圧が変化したとき(咳き込んだときなど)に開きます。左右の喉嚢は中隔で分けられていてつながっていません。左右それぞれの喉嚢は中央を縦に走る舌骨を目印に、内側と外側に分けられます。内側には内頚動脈、外側には外頚動脈が走り、また、脳神経の一部も露出しています。喉嚢炎には細菌や真菌(カビ)の感染が多く、真菌性喉嚢炎では動脈が侵されれば多量の鼻出血が、神経が侵されれば嚥下障害、顔面麻痺などの神経症状が起こります。
(この回答は、樋口 徹先生(NOSAI日高)のお答えを基にしています。)

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