Q&A_牛の飼養管理 of tokachi_nosai

牛の一般疾病

Q1:乾乳期を無くすと、どんな影響がありますか?
乳牛の乾乳期を無くした場合の影響はいくつかあります。まず乳量では、分娩後の乳量の伸びが低く、1年間の総乳量は乾乳した場合より低くなります。乳量の低下は10~15%とも、またそれ以上という報告があり、特に2産目への乳量低下の影響は大きいようです。
 次に、分娩後の病気が減ると言われており、特に過肥牛では乳熱や脂肪肝といった代謝疾患の発生を減らすことが報告されています。また、過肥牛同士の比較では、無乾乳の方が受胎率の向上がみられると報告されています。
 乳成分への影響としては、乳期の成分変動はほとんど無くなりますが、この事は、生れたばかりの新生児に必要不可欠な初乳成分が少なくなることも意味しています。また乳房炎への影響では、無乾乳にすることで乾乳中の環境性乳房炎の新規感染を無くすことが出来ますが、乾乳期治療はできなくなります。
 無乾乳に関しては研究中で、どちらが良いといった結論はまだ出ておらず、これからもさまざまな影響が明らかになると考えられます。


Q2:坐っていた牛が立つと、なぜすぐ糞をするのですか?
牛は横臥中はあまり排泄しません。排泄姿勢をみると、牛も、体や肢に排泄物が付くのを嫌っていると考えられます。牛は排泄のとき背を丸め、外陰部や後肢に排泄物やその飛沫が付かないようにすることからそのことが想像できます。
横臥姿勢のまま排泄する(特に排尿)と尻の下が汚れるのでいやなのではないかと考えられます。また、牛は体の動きに伴って大腸の蠕動運動が活発になるように考えられます。これは排泄運動を1日中追跡した我々の研究でも明らかでした。さらに、牛の起立・横臥のサイクルは一般に60~180分ごとに行われており、その中で横臥継続時間が40~100分と最も多いです。一方、一日の排糞回数は15~20回でその間隔は30~90分が多いことも分かっています。
すなわち、1.横臥姿勢で排糞が抑制される。2.起立という体の動きで大腸の蠕動運動が活発となる。3.大腸に排泄飽和状態に貯まっていた糞が排泄される。
このような因果関係があると想像されます。(この回答は、柏村文郎 農学博士のお答えを基にしています。)


Q3:牛の視力はどのくらいですか?
草食動物である牛の視力を、捕食動物である人間の視力のように測定することは難しいです。草食動物の視力は、遠くから近寄る捕食動物の姿をとらえるようにできています。一方、人間の視力は木の実を手で取ったり、草食動物を正確に捕まえたりするためのものです。
 雄牛について実験では、1.5mの近さで、直径36cmの黒い円盤と黒の中に1cmの白い円のある円盤を見分けることができたというものがあります。遠くのものを見る実験成果は見たことがありませんので、何ともいえません。(この回答は、柏村文郎 農学博士のお答えを基にしています。)


Q4:育成牛の蹄の管理はどのようにしたらよいのですか?
育成牛では通常、蹄の生成と磨耗のつり合いが取れているので、蹄に変形を認めることは少ないです。そのため、育成牛の削蹄を実施している酪農家は少数かと思います。しかしながら、「分娩後に初産牛が蹄病(蹄底潰瘍)になる」場合には、分娩前に(つまり育成牛にも)削蹄が必要になります。
 初産牛は、分娩時にエサと飼養環境が大きく変わります。エサの変化は蹄の生成に変化をもたらします(一時的な蹄生成の停止や蹄の過形成)。また、飼養環境が硬い床(コンクリート)の場合には、蹄に対する床からの反発が大きくなります。これらの要因により、分娩後に初産牛が蹄病(蹄底潰瘍)になる事があります。
 そこで、初産牛の蹄病を予防するために、育成牛でも分娩前に削蹄することが推奨されています。「良い蹄に整えておいて一番危険な時期をのりきる」という考え方です。それ以外の時期には、蹄に変形がなければ削蹄は必要ないと考えます。(この回答は、石川高明先生(前北海道NOSAI研修所)のお答えを基にしています。)