Q&A_子牛について of tokachi_nosai

牛の一般疾病

Q1:子牛の水中毒について教えて下さい。
子牛が水を飲めない状態が続き脱水を引き起こし、その状態から一度に大量の水(体重の8%以上)を飲むことにより発症します。著しく薄い水分が大量に吸収されることにより赤血球が破壊されるので赤黒い尿となります。
 軽症では一時的に赤黒い尿を排泄するだけで3~4時間で自然に治癒しますが、重症では肺に水が溜まり死亡することもあります。
 この他、体温の低下、元気の消失、腹周りが膨れる等の症状が認められることもあります。
 また、寒い時期にも、凍結などにより飲水が制限された場合に起こります。


Q2:仮死状態で産まれた新生児を助けるためには?
とにかく呼吸をさせることが必要なので、気道の確保と呼吸の促進を考えます。 
まず、鼻と口の周りに胎膜や粘液がついていたら拭き取ってあげましょう。口や鼻の中の異物が喉につかえるのを防ぐために前を低く、後ろを高くして寝かせます。乾いた寝わらを用いて体を強くこすったり、鼻をくすぐってくしゃみをさせたりするほか、頭をゆする、冷水を頭にかける、もしくは舌を強く引っ張るといったことが呼吸の促進に効果があると言われています。また、逆さ吊りにして飲み込んでしまった粘液を出したりもします。
それでも呼吸が起こらないのであれば、人工呼吸をします。前肢を持って左右に開いたり閉じたりすることで胸を動かして呼吸させたり、または鼻孔の片方を手で塞いでもう片方から息を吹き込み、胸が膨らんだら手で押して吐き出させてやります。呼吸が見られたら、うつぶせにして前肢を開いた状態にしておくと呼吸が楽な様です。
たとえ仮死状態でなくとも、出生時に十分な呼吸をさせてあげることは低酸素状態とそれに続いて起こる体液の酸性化を防ぎ、初乳の効果をより生かしてその後の病気を防ぐ効果があるので、分娩に立ち会って新生児のケアを十分に行ってあげるのが良いでしょう。


Q3:「寒い時には体温を保つためにエネルギーを沢山使うので、ミルクを多めにあげたほうが良い」と聞いたのですが、どうしたらよいのですか?
幼い子牛が快適に過ごすための最適温度は15~25℃といわれており、15℃以下になると体を維持するためにより多くの栄養を必要とします。理論上では、栄養要求量が増しても子牛が一回に哺乳できるミルクの量は変わりません。むしろ寒さにより少なくなると考えられます。このことから要求量を満たすには哺乳の回数を増やせばよいのですが、一日に何度も哺乳をしなくてはならず現実的ではありません。
ですから、ミルクの量を増やすことよりも子牛に十分温かい環境を作ってあげることが大切です。気温が低くても子牛が暖かい環境であれば、栄養要求量はさほど上がりません。子牛の体をヒーターやジャケットなどで暖かくしてやりましょう。その上で少し多めにあげたいということであれば、一回量は同じか少し減らすくらいにして哺乳回数を増やすことで一日量を増やすようにしてください。ミルクは温めてもすぐにさめてしまうので温度には十分注意してください。


Q4:子牛の下痢症にはどんな原因がありますか? 
主に細菌性・ウイルス性・原虫性・食餌(母乳)性に分類できます。通常は単独ではなく、いくつかの原因が混合して下痢を起こすことが多いです。① 細菌性・ 大腸菌:毒素原性大腸菌の感染症で『白痢』ともいわれ、生後1~3日から発症。時に血液を混じます。・ サルモネラ:発熱を伴ない、偽膜を混じた血便を排することもあります。伝染性が強く、集団発生する場合が多いです。② ウイルス性・ ロタウイルス:生後5日~7日の発生が多く、大腸菌との混合感染では死亡率が高いです。・ コロナウイルス:冬季に多発し、ロタウイルス・大腸菌との混合感染が多いです。③ 原虫性・ コクシジウム:感染牛は血便を排し、排出されたオーシストが飼育環境を汚染。生後2週間前後からの発症が多いです。・ クリプトスポリジウム:難治性で生後3日~4週齢からの発症が多いです。④ 食餌性・ 母乳成分異常・ 不適切な飼養管理・環境(初乳給与、牛舎環境など)
※ 適切な初乳管理、環境の消毒、ワクチン接種などである程度予防することが可能ですので詳しくは獣医師にご相談ください。


Q5: 子牛のデベソについて教えてください.。
いわゆる子牛のデベソには、2種類の病気が含まれます。 1つは『臍帯炎』で、分娩時、あるいはその後に臍帯(おへそ)から細菌感染し、化膿、腫脹、悪臭を発します。抗生物質の注射や、局所消毒等の治療が必要です。ひどい場合、敗血症や関節炎を起こし牛がダメになる場合もあります。また、予防上、臍帯の消毒時に根元(お腹のなか)まで消毒剤を入れない事、さらに清潔な環境で管理する事が、非常に重要です。 2つめは、『臍ヘルニア』で、臍輪(おへその穴)に腸や胃の周りの膜などが入り込むものです。先天的に臍輪の大きなものと、臍帯炎によって拡張した2次的なものがあります。圧迫すれば、お腹の中に戻ることで判断できます。軽度なものであれば、自然に治ることもありますが、大きい場合、手術や圧迫による外科的治療が必要となります。
 中には、両方併発している例もあるので注意が必要です。詳しくは、技術情報をご覧になるか、獣医師に聞いて下さい。


Q6:生まれた子牛のへそから変なものが出て血が止まらない。
帯外鞘が臍部直前より切れて臍動脈・静脈尿膜管が露出してる、臍動脈よりの出血が止まらない、尿膜管からの露尿がある場合は、よく消毒して結さつする必要があります。また、臍帯基部での切断の場合は縫合しなければなりません。まれに、臍帯から内臓の脱出がある場合がありますが、その時は獣医師を呼びましょう。


Q7:副乳頭の簡単なとり方を教えてください。
出生直後、ヘソの消毒をする時に、鋏と鉗子を持っていき、副乳頭があればとってしまいます。ほとんど痛がりませんので楽です。ただし、胎水でぬるぬるしていますので、副乳頭をつまみあげるのに、鉗子が必要となります。月齢が進みますと、副乳頭内に乳管が形成される場合があり、この時期に副乳頭を切除しますと、時にはとった所から漏乳がみられることもありますので、早めに副乳頭はとってしまいましょう。


Q8:子牛でのワクチン接種のタイミングは、いつ頃が適当なのでしょうか?
子牛は、出生後、初乳から移行抗体というものを腸管から体内に吸収します。その後、移行抗体は少しずつ減少します。そして、その移行抗体の減少に伴って子牛自身で抗体を産生するようになります。なぜなら、抗体がないとウイルス等の病原菌が体に侵入した場合、抵抗できないからです。この抗体というものは、およそ出生後2週齢くらいから自分で作られるようになるのですが、その頃は、まだまだ産生能力が低いです。つまり、産生能力の低い時に、ワクチンを接種し抗体を作らせようとしても期待するだけの物はできないと言うことになります。ですから、月齢が遅いほど産生能力が優れていることになりますので、出生後45日齢以降にワクチン接種をしたほうが良いと思われます。しかし、現実に病気が発生しワクチン接種で予防できる場合については、上記の限りではなくケースバイケースで若齢牛へのワクチン投与も考えるべきだと思います。


Q9:子牛の下痢にヨーグルト投与が良いと聞いたのですが…?
一般的な方法ではありませんが、現場で実施してもらって良い結果が出ています。 ただ、直接的に下痢に良いというのではなく、断乳時の栄養補給の一方法として有効なのだと考えています。 牛乳のたんぱく質はそれ自体大変吸収され難い形で存在しています。 ヨーグルトのたんぱく質は乳酸菌によって、吸収されやすいアミノ酸の形になって存在しています。下痢のとき弱った腸管にもやさしく、速やかにアミノ酸という形で吸収される蛋白源として、下痢子牛の断乳時における体力低下を緩和し、治癒力を高める目的で有効だと考えています。


Q10:子牛の正常体温ってどのくらいですか? どのくらいになると異常と判断したらよいのですか?
子牛の場合親牛よりいくぶん高めです。38.5 ~ 39.5℃くらいが正常体温です。それ以上は熱発、それ以下では低体温と考えることが出来ると思います。ただ、体温はあくまでも疾病の一つの症状です。体温が適正でも状態が悪く、治療を必要とする肺炎子牛もいます。体温、皮温、便の性状、活気、食欲、呼吸音などを注意深く観察することが、子牛疾病の早期発見・治療につながるものと思います。


Q11:早産で生まれた未熟な子牛の飼養管理はどんな点に留意すれば良いですか。
人工哺乳によって手をかけてやることが必要です。1回の哺乳量を子牛の状態に合わせて少な目にすると同時に哺乳回数を増やしましょう。下痢をさせないようにすることが大切です。また、子牛は充分な体温調節ができませんので保温には特に留意し、感染症から守るため湿気のない清潔な環境で育てて下さい。  大変手間がかかりますが愛情を持って根気よくがんばりましょう。


Q12:初乳をどうしても飲みたがらないときには、どうしたらよいのですか?
吸飲力がない子牛や飲乳を嫌がる子牛に対しては、出生後6時間程度までは強制的に飲ませる必要はありません。初乳を飲みたがらない子牛は胃の中に羊水がたまっていることがあるので、強制的に飲ませても、初乳があまり吸収されないからです。この場合、子牛の体を拭くとマッサージ効果で胃腸の動きが活発化して貯留した羊水を拡散させ、また、呼吸と血液循環を促進させることができます。6時間以上経過しても飲まない場合は、強制的に数回に分けて飲ませる必要があります。