2013_子牛の下痢を引き起こす病原体 of tokachi_nosai

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 子牛の下痢は最も一般的に見られる疾病である一方、育成に影響を及ぼし、時には死に至る、農場経営を進める上で最も重大な問題のひとつです。原因はさまざまで、食餌性の下痢のほかに、病原体の関与が疑われるものもあります。この子牛の下痢を引き起こす病原体は1つではなく、病態もさまざまです。原因は多因性で、混合感染するものが多くなっています。今回はそれらの病原体について、その分類、特徴、対策やそのほかの注意点などについて、最も一般的なものを紹介します。

 


 
 子牛の下痢を引き起こす病原体は大きく分けて細菌および真菌、ウィルス、寄生虫の3つに大別されます。最も一般的なものとして、以下のように分類されます。
 それぞれの病原体で発症する時期が異なり、重篤な症状に陥る度合いも異なりますが、どの病原体も、子牛の下痢を引き起こすという症状は共通しており、一見しただけでは病原体の特定は困難です。脱水や衰弱を伴うもの、便に血が混じるもの、高熱を発するものなどは特に注意が必要です。早めに往診を依頼しましょう。
 

             
分  類 病原体 発症時期 死亡率 特  徴
            
細  菌 腸管毒素性
大腸菌
1~3日齢 5~25%

サルモネラ菌 

4週齢以内 菌型により75%以上 高熱、便に血が混じることがある

ウイルス

ロタウィルス

5~7日齢
5~60%  大腸菌との混合感染で致死に至る場合がある

コロナウィルス

1週齢程度 高い

寄 生 虫

コクシジウム

2週齢~育成期 低い 便に血が混じることがある
クリプト
スポリジウム
3日齢~4週齢 低い 下痢が1週間以上持続


 
 子牛の下痢に対する対策は原因病原体の検査と治療だけではいけません。
子牛の下痢症は、環境要因、宿主要因、病原体要因の3つの要因が複合的に関わって発症するため、それぞれの予防対策に同時に目を向ける必要があります。具体的には、分娩管理、初乳給与、施設、給餌技術、栄養管理、ワクチン接種、乾乳牛の飼養管理など多くのことを見直す必要があります。
 

 

 
 産まれたばかりの子牛は免疫機能が十分ではなく、出生後しばらくは初乳を介して母牛から受け取った免疫作用のあるタンパク質(移行抗体)に全てを頼ります。初乳の管理は子牛の下痢症対策の要であり、非常に重要です。新生子牛が移行抗体を吸収できるのは出生後約24時間以内と言われています。高品質な初乳を十分量(2ℓ以上)、適切な時間に給与してください。高品質は初乳とは比重1.047以上のものと言われており、これは市販の比重計で計ることができます。また、移行抗体は熱に弱いため、凍結初乳を使う場合は面倒でもぬるま湯で溶かして適切な温度で給与してください。初乳には移行抗体を付与する作用のほかに、腸管粘膜を保護する作用があります。生後3日間は初乳を給与することで下痢を防ぐことにつながります。
1.jpg初乳の比重を計る2.jpg環境が整った牛舎内
 

 
 初乳に含まれる移行抗体を増やすために、母牛へのワクチン接種が有効です。対策が必要な場合は獣医師に相談してください。
 
 

 子牛の下痢を引き起こす病原体をはじめ、動物との接触などにより人に病原体が感染して食中毒等を発症し、公衆衛生上大きな問題となる場合がありますので、動物に触ったら必ず手洗いをしましょう。特に小さな子どもがいる農場や小・中学生たちを体験農場として受け入れする場合には、注意してください。

 

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