2007_分娩予知を取り入れて安心のお産を of tokachi_nosai

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分娩予知を取り入れて、安心のお産を!


 分娩予定日の近づいた牛がいるとなかなか落ち着かないものです。今晩生まれるのでは?と心配になったこともあるのではないでしょうか。


 分娩が近いことを判断するのに「乳房が張ってきたら」とか「陰部がゆるんできたら」などの観察がよく知られています。また、多くの研究結果が発表されていて学術的なところでは、予定日前の数日間検温を行い予知する方法もあり、最近普及している分娩監視システムの中には、膣温度センサーで常時体温変動を監視できるものが出てきました。
 このような分娩予知は酪農家の時間的、精神的負担を軽減し、また、分娩に気付かずに起きてしまう難産や胎児死などの事故防止にも役立つものと考えられます。しかし、同時に分娩予知は大体の目安にはなるが、今晩生まれるかどうかという短時間のレベルではあまり使えないとも思われます。検温による予知でも「体温が下がってきたら1~2日以内に分娩する確率がかなり高い」というレベルです。
 結局、多くの分娩予知の知識を持ち、それらをうまく組み合わせて自分が納得できる方法を作っていくことが重要のようです。そこで今回は、「胎児死対策シリーズ」の第4回目として、比較的信頼度の高い分娩予知の観察ポイントを紹介します。ただし、牛には個体差がありますから、このページに当てはまらないケースがありますので、必ずいくつかを組み合わせて分娩予知をしてください。

ポイント1.乳頭の張り

 分娩が近づくと乳房内で産乳と乳汁の貯留がはじまります。約1週間前には、乳頭内にも貯留が起こってきます。写真1は分娩9日前、4日前及び分娩当日の乳頭です。分娩9日前には見た目にシワシワで搾っても乳汁が出ない感じがした乳頭が、4日前には乳頭が太くなり皮膚が引っ張られてシワが少なくなってきました。分娩直前には乳頭がさらに太くなり、パンパンに張ってシワが見えなくなりました。写真2は別の牛の分娩8日前、4日前及び分娩10時間前の乳頭です。分娩に向かって乳頭が太くなり張ってきたのが良くわかります。このように、見た目の「乳頭の張り」の変化により、分娩が近づいていることは簡単に判断できます。


乳頭の変化(写真1)
9日前乳頭.jpg分娩9日前4日前乳頭.jpg分娩4日前前日乳頭.jpg分娩当日














分娩が近づくにつれ、乳頭のシワがなくなり、太くなってきたのがわかります。

8日前乳頭.jpg分娩8日前4日前乳頭.jpg分娩4日前10時間前乳頭.jpg分娩前日(10時間前)















別の牛の乳頭。同様に乳頭が膨らんできました。


ポイント2.仙坐靭帯の弛緩

 しっぽの両側にあるお尻の骨の出っ張りに向かって、しっぽの付け根からそれぞれ1本のヒダが走っています(太った牛では分厚い肉に覆われていて、わかりにくいことがあります)。これが仙坐靭帯です。この靭帯は分娩が近づくと緩み、このために産道が広がり易くなります。  写真3は写真1と同一牛の分娩9日前と分娩当日の仙坐靭帯です。靭帯は分娩9日前にはピンと張って硬く、手で触れるとはっきりわかりました。分娩当日には靭帯は緩んで落ち込み、凹んだのがわかります。手で触れてもヒダ状のものは感じられませんでした。写真4は写真2と同一牛の画像です。同様に分娩10時間前には、靭帯は凹んだのがわかります。このように「仙坐靭帯の弛緩」でも、見ることや触れることで分娩が近いことは簡単に判断できます。

1.gif

靭帯は分娩9日前には張っていて、手で触ると硬さがわかりましたが、分娩当日には緩んで落ち込み、手で触ってもわからなくなりました。

2.gif

別の牛の仙坐靭帯。分娩前日には大きく落ち込みました。


 分娩予知は使い方によっては非常に役に立つ「技術」と考えられます。使い方とは、冒頭でも述べたように、いくつかの知識を組み合わせて自分が納得するやり方を作っていくことです。ひとつひとつではあまりあてにならないものも、組み合わせることで「使える技術」になると考えられます。胎児死対策に悩んでいるあなたに、牛群管理に取り入れることをお勧めします。

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