2006_子牛下痢症への対処法について of tokachi_nosai

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子牛下痢症への対処法(主に飲み薬)について


clip_image002.jpg元気な下痢子牛 子牛下痢症への対処法としては下痢止め薬、抗生剤、生菌剤、電解質等の経口薬がありますが、それぞれの飲ませ方の留意点について、今回少し説明したいと思います。各地域で使用している下痢止め薬、抗生剤、生菌剤の種類は異なると思いますが、それぞれの薬の目的とする所は大体同じです。ただし、成分上、その薬効を引き出すような使用をしないと、せっかくの処置が無駄になったり逆効果を生み出すこともあります。


下痢止め薬

 一般的に下痢止め薬には次の3つのタイプがありますが、現在使用されている経口薬はそれぞれの作用を合わせ持つものがほとんどです。薬の種類が多岐にわたるため、ここではその内容成分で説明します。普段使っている薬の成分欄を確認してみて下さい。

A. 収斂(しゅうれん)薬:胃や腸の粘膜を被覆・保護し、炎症を抑えたり病原菌をくっつかなくする作用(タンパク凝固作用)があります。この作用を持つ薬はミルクや生菌剤と混ぜない方がいいでしょう。
・収斂作用がある成分‥(ケイ酸)アルミニウム、次硝酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、タンニン酸アルブミン

B. 吸着薬:文字どおり有害物質(悪い細菌やその毒素、毒物、ガスなど)にくっついて、胃腸粘膜と接触しないようにするものですが作用は不確実です。ケイ酸アルミニウムはテトラサイクリン系、ニューキノロン系の経口抗生物質の作用を弱めてしまうため、これらの抗生物質との飲み合わせは避けましょう (獣医師にご相談ください)。
・吸着作用がある成分‥ケイ酸アルミニウム、活性炭および薬用炭

C. 殺菌薬:消化管内の悪玉菌を殺します。反面、善玉菌にも効果を及ぼしますので生菌剤との混合は避けてください。
・殺菌作用がある成分:アクリノール、クレオソート、タンニン酸アルブミン、(タンニン酸または塩化)ベルベリン


経口抗生剤

 経口抗生剤の種類はさまざまですが、獣医師より処方された経口抗生剤を指示通りに投与することが重要です。


整腸生菌剤

 宮入菌、乳酸菌、酪酸菌や枯草菌(納豆菌)などのいわゆる生菌製剤といわれるものです。腸内細菌のバランスが崩れた場合に使用するため、下痢・便秘のどちらにも使用します。おなかにいい菌を補うことで悪玉菌の増殖抑制にもなります。下痢の初期やその予防、経口抗生剤投与後の腸内環境改善に効果的です。下痢止め薬、抗生剤との飲み合わせを避け、30分以上間隔を空けて投与しましょう。


経口電解質

 人でいうスポーツドリンクです。吸収が良く、ミルクよりおなかに負担をかけにくく、水より体液成分に近いので、下痢初期の水分補給を目的に使用します。ただし、食欲が低下し胃腸の動きが鈍くなってお腹が張っている、ゆするとタプタプという音が聞こえるなどといった場合にはミルク同様、使用は避け、獣医師に相談して下さい。また、ミルクに比べると栄養分が低いため、電解質だけを飲ませ続けると低栄養になりがちです。下痢のはじめ1~2日を目安に与えてください。慢性の下痢の場合は、1日の哺乳量をそのままで1回の哺乳量を減らし、足りない分、昼に経口電解質を与えるなどといった方法もあります(1日4㍑ミルクを与えている場合、朝夕ミルク1.5㍑ずつ、昼に電解質1㍑)。この場合、ミルクを与えた後、次の電解質給与までは2時間以上間隔を空けて下さい。

飲水

 下痢をしている哺乳子牛に対しても、清潔で新鮮な水はバケツでいつでも飲めるようにしておく必要があります。詳しくは獣医師にご相談ください。

断乳について

 断乳は傷ついた腸粘膜を休ませるための下痢対処法のひとつです。母乳の劣化、哺乳量の急増や代用乳から生乳への転換など、食餌性下痢(甘い匂いの便、白く匂いのしない便など)、細菌性の下痢(臭い便、異常発酵臭)などが疑われる場合、1日断乳して経口電解質の投与が有効です。ただし前述した通り、お腹に膨満感のある場合には経口電解質も中止し、獣医師に相談した方が良いでしょう。

胃潰瘍治療薬

clip_image003.jpg胃潰瘍が疑わしい子牛 最近、子牛の下痢治療でも使われ始めている経口薬です。胃潰瘍に関しては人医療のように血液検査、レントゲン、胃カメラによる診断は行われてはいませんが、下痢がなかなか治らない場合や下痢が続いた際にお腹を痛そうにして背中を丸めて立っている場合などに使用します。本剤使用に関しても、獣医師にご相談ください。



廃棄乳(乳房炎乳、血乳)の子牛への給与について

 乳房炎乳を子牛に与えると下痢することは知られていますが、血乳を与えても下痢が起こります。これは乳汁中に漏れ出た赤血球などの血液成分が、腸内細菌の過剰な栄養源になってしまうため、腸内細菌が異常増殖してしまうことが原因だといわれています。これらの異常乳は子牛に与えないよう注意してください。



以上、子牛下痢症に使用する薬剤の使用上の注意点について説明してきましたが、下痢のときにどの薬を飲ませるかとそのタイミングについての判断は一番難しいと思います。下痢を見つけたらすべて抗生剤投与ではありませんし、すべての下痢がこれらの飲み薬で治るわけではありません。下痢になる要因はたくさんありますが少なくとも、どれくらいの日齢でいつから下痢が始まったか?、便の性状は?(水みたいな便?ねっとりした便?便の色は?においは?)、熱は?、他の子牛は下痢していないか?、いつもと違うミルクの種類(代用乳の種類、量、濃度、温度、生乳に変えたなど)、廃棄乳を与えていないか?、哺乳用具や施設の衛生面は?、初乳は適切にあたっているか?、与えている水の温度、量、清潔か?、飼養施設の気温・湿度・通気性や隙間風の有無は?などをしっかり把握することが治療方法の手がかりになります。下痢ワクチンなどの予防法もありますので、自家療法についての良し悪しなども含めて、一度獣医師にご相談ください。










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