2003_牛サルモネラ感染症 of tokachi_nosai

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牛サルモネラ感染症


IMAGE10.GIFグラフ1 十勝NOSAIにおける乳牛サルモネラ感染症の年度別発生状況IMAGE9.GIFグラフ2 乳牛サルモネラ感染症からの分離株血清型別(H11年~15年)
 サルモネラ菌は子牛に流行的に発生する下痢症の代表的な病原菌です。サルモネラ菌は血清型により、2,400以上に分類されており、牛のサルモネラ感染症ではSalmonella Typhimurium(サルモネラ ティフィムリウム)、S.Dublin(ダブリン)、S.Enteritidis(エンテリティディス)、S.choleraesuis(コレラエスイス)が家畜伝染病予防法で届出伝染病に指定されています。
 我が国における牛のサルモネラ感染症の多くは集団飼育される乳用雄仔牛などを主とする肉用牛が中心でした。しかし、近年、搾乳牛の発生が増加する傾向がみられます。
 十勝NOSAIにおける平成11年度からの発生状況をみても毎年、成乳牛に発生がみられます(グラフ1)。血清型は主としてS.Typhimuriumでしたが、近年、S.Enteritidis、S.Heidelberg、S.Breandrupなど原因菌の血清型の多様化がみられます(グラフ2)。また、S.TyphimuriumやS.Enteritidisは人のサルモネラ食中毒の原因菌として公衆衛生の面からも重要視されています。
 感染は主として感染牛の下痢便によって牛舎環境や飲水・飼料が汚染され、経口的に侵入して感染が成立します。





サルモネラ症の症状は?

【子牛】 1ヵ月齢以下の幼若牛がもっとも感染し易く、元気・食欲不振~廃絶し、発熱(40~42℃)があります。悪臭があり粘液や血液を混入した泥状~水様下痢便を排泄します。時には肺炎症状や関節の腫脹もみら、甚急性では下痢をせず死亡することもあります。
【成牛】 分娩後のストレスが大きい時期にもっとも発症し易く、元気・食欲不振、突然の熱発があります。搾乳牛は乳量が減少し、子牛同様粘液や血液を混入した下痢をします。S.Dublin感染では早産・流死産を起こすことがあります。

サルモネラ症の治療は?

 感受性のある抗生物質の全身投与・経口投与を行います。しかし、見かけ上回復しても保菌牛となり、間欠的に排菌し新たな感染源となることがあります。治療にもかかわらず排菌状態の続く個体は淘汰します。

サルモネラ症の予防は?

 発生農場へのサルモネラ菌の侵入経路を特定する事は大変困難になっています。しかし、外部からの侵入を防ぐことが最も重要な予防対策となります。
 牛舎への外部者の立ち入り制限、出入り時の消毒、踏み込み消毒槽の設置などを行う事が必要です。導入牛は一定期間隔離し、異常が無いかどうか観察し導入します。
 牛舎内の清掃、飼槽や水槽の定期的な消毒、カーフハッチの消毒などを行い、万が一、本症が発生しても大きな流行にならないようにすることも重要です。



典型的な下痢を伴わない成乳牛のサルモネラ症の事例

 最初の発症牛(No.1)は元気・食欲不振、発熱(T.41.7)、軽度の軟便排泄、乳量低下がみられました。通常の抗生剤で治療したところ、6日後には平熱となり元気・食欲も回復したため治療を打ち切りました。No.1の発病から10日後、2頭(No.2・No.3)に発熱(40℃以上)、元気・食欲不振、DSCF0037.JPG牛舎消毒の様子軽度の軟便~正常便がみられました。この農場では数年前にサルモネラ症(S.Montevideo)を発生した経過があったため、糞便の細菌培養を行ったところ、2頭から前回とは血清型が違うS.Virchowが検出されました。
 搾乳牛64頭、乾乳牛19頭、哺育・育成牛40頭を検査したところ、搾乳牛9頭、乾乳牛1頭、子牛1頭からサルモネラ菌が検出されたため、搾乳牛に抗生剤の全身投与と経口投与を行いました。乾乳牛1頭と子牛2頭(同居子牛1頭を含む)は淘汰し、牛舎の洗浄・消毒、石灰散布等を実施しました(写真)。また、飼槽の消毒は毎日行う事とし、牛舎周辺の石灰散布を定期的に行ってもらいました。2週間後の全頭検査で発症牛(No.1)の保菌が確認されたため淘汰しました。以後、2回の全頭検査、環境検査の結果、陰性が確認されたため清浄化されたものと判断しました。

このように血清型によっては主な症状が発熱・食欲不振のみで、粘液や血液を混入した激しい下痢を示さない例があるので注意が必要と思われました。

まとめ

 サルモネラ症が発生した場合、搾乳牛への抗生剤の投与による牛乳の出荷停止、検査料、保菌牛の淘汰、医薬品代、消毒のための薬品代等多大な費用がかかります。また、発生が終息するまでには数ヶ月を要するため、畜主には大きな精神的ストレスがかかります。定期的な牛舎の清掃・消毒、踏み込み消毒槽の設置など予防対策を実施する事によってサルモネラ菌の外部からの侵入を防ぎ、また牛群への蔓延を防ぐ事が重要だと思われます。

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