2017_新たな乳房炎対策としての乳房炎ワクチン of tokachi_nosai

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 近年の獣医療、飼養管理法、搾乳技術の進歩には目を見張るものがありますが、いまだ乳牛の乳房炎は減らすことができていません。平成28年度の乳用成牛の病傷事故では、泌乳器病は実に45%と最も多く、その大部分は乳房炎です(図1)。また死廃事故では、乳房炎は心不全、脱臼および筋損傷に次いで多く、約10%を占めています(図2)。乳房炎の発症を減らし、症状の重篤化を抑えることは、生産乳量や乳質を確保し、廃棄乳や治療費を減らすことにつながるため、とても重要な課題になります。
 
スライド1.JPG図1:平成28年度 乳用成牛病傷事故病名発生割合(十勝NOSAI128,764件)スライド2.JPG図2:平成28年度 乳用成牛死廃事故病名発生割合(十勝NOSAI11,886件)
 

 
 平成28年9月に国内で初めて乳房炎ワクチン(2価乳房炎不活化ワクチン)が発売されました。このワクチンは、黄色ブドウ球菌(SA)や表皮ブドウ球菌(CNS)、大腸菌群(CO)による臨床型乳房炎の臨床症状を軽減することを目的としたものです。平成28年度の乳汁細菌検査(のべ53,012頭、84,475株)から、乳房炎原因別発生割合は、CO17.1%、CNS11.1%、SA6.3%であったことから(図3)、乳房炎全体のおよそ3分の1に、このワクチンの効果を期待できると考えられます。
 このワクチンは健康な妊娠牛に使用し、分娩予定日を基準日(0日)として、45日前、10日前、52日後の計3回、筋肉内に注射します(図4)。また、一般的なウイルスに対するワクチンと異なり、分娩毎に毎回3回接種することで効果を最大限に引き出します。
 
スライド3.JPG図3:平成28年度 乳房炎菌別発生割合(のべ53,012頭、84,475株)スライド4.JPG図4:乳房炎ワクチン(2価乳房炎不活化ワクチン)接種プログラム
 

 このワクチンは乳房炎の症状を軽減することが目的であり、乳房炎の発症を完全に抑えることはできません。また、牛舎衛生や搾乳衛生、搾乳機器等に乳房炎の原因となる問題があると、ワクチンの効果は低くなってしまいます。十勝NOSAIの損防事業のひとつである乳房炎検診では、乳房炎の原因の分析や、その対策の支援を行っています。これらの対策を行った上で、このワクチンを使用すると、より高い効果が期待できます。もう一度、乳房炎について見直してみてはいかかでしょうか? 
 




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