2017_繁殖管理における効率的な発情発見について of tokachi_nosai

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 繁殖成績を良くするためには、発情の発見が重要です。しかし、近年は高泌乳牛の発情微弱化や、飼養頭数規模の拡大により発情発見が難しくなっています。ここでは、いくつかの発情発見についての文献を紹介しますので、日常の発情観察の参考にしてください。


 
 表1は、発情の観察回数・時間による発情発見率を調べたものです。観察の回数と時間が増加すると発情発見率も高まります。観察により発情発見率を高めていくためには、1日2回以上、より時間をかけて観察をすることが必要です。
 

表1.発情発見率と観察回数・時間の影響(Jodie A Penningtonら)

 1 日 の
観察回数
1回の観察時間
10分 20分 30分 60分
1回 22% 31% 36% 39%
2回 33% 43% 55% 61%
3回 45% 55% 65% 71%
4回 49% 61% 71% 78%

 

31% 36% 39% 43% 55% 61% 55% 65% 71% 61% 71% 78%

 

 
 一番重要な発情徴候であるスタンディング(乗駕を許容する動作)を見つけるためには、マウンティング(他の牛に乗駕する動作)を見つける必要があります。肢蹄の健康状態や牛床の状態にも影響をされますが、同時に発情している牛が複数いると、お互いに刺激し合うため、マウンティングの回数が増加します(表2)。ホルモン剤などを利用して、発情牛を複数頭集中させることも発情発見率を高めるひとつの方法です。
 

表2.発情前期と発情期の牛の数におけるマウンティングの頻度
(J.Hurnick ら 1975)
発情前期と発情期の
牛の頭数
1頭ごとのマウンティング
の平均回数
1頭 11.2
2頭
36.6
3頭
52.6
4頭以上 49.8

 

31% 36% 39% 43% 55% 61% 55% 65% 71% 61% 71% 78%

 

 
 発情動作を示しやすい時間帯に行えば、より効率的に発情発見が可能です。搾乳時間帯では、発情徴候をほとんど示さず、搾乳終了後から活発になっています。また、暑い時期は、夜間や早朝などの涼しい時間帯、寒い時期は、暖かい日中に発情動作が認められやすいのがわかります(図-1)。
一般的には、繋ぎ牛舎で搾乳後にパドックに出した時など、自由に動けるようになった後は、マウンティング行動が多く見られる傾向にあり、発情が観察しやすくなります。また、牛群全体が伏臥して休息している静かな時間帯は、粘液の排出が観察しやすく、発情の牛だけ起立していたり、落ち着きなく動きまわっているのが目立つため発情発見が容易となります。
 
図1.jpg
 
 

 
 哺乳および飼料給与による十分な栄養摂取はもちろんのこと、カーフジャケットやヒーターなどによる保温(写真)と、換気による新鮮な空気供給およびアンモニアの発生を抑えるための敷料の頻繁な交換を行いましょう。
 

表3. 観察方法による発情発見の比較(Holman ら 一部改変 2011)
観察方法 発情発見率(%) 特異度※(%)
農場スタッフの観察 56.5 92.9
頚部装着の活動量モニター
58.9 93.5
歩数計
63.3 73.5
頸部装着の活動量モニター +
農場スタッフの観察
75.0 91.7
歩数計 + 農場スタッフの観察 74.4 68.1

※特異度:発情の正確性

31% 36% 39% 43% 55% 61% 55% 65% 71% 61% 71% 78%

 




参考文献

・University of Arkansas, Agriculture and Natural Rrsources, publications FSA4004
・J. A. Pennington: J. Dairy Sci. 68: 3023-3030 (1985)
・J.F. Hurnik et al: Applied Animal Ethology 2: 55-68 (1975)
・A. Holman et al: Veterinary Record 47: 169. doi: 10.1136/vr.d2344 (2011)







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