2014_牛コクシジウム症の予防 of tokachi_nosai

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 コクシジウム症は、一般に3週齢以上の子牛で下痢や血便などの症状を引き起こす病気であり、重症例では発育不良、斃死することもあります。また本症が潜在的な生産性低下の要因の1つでもあります。今回は、コクシジウム症の予防についてお話ししたいと思います。
 


 
 コクシジウムは外界型である成熟オーシストを牛が摂取することにより感染が成立します。牛体内に入ったオーシストは腸粘膜上皮細胞に侵入した後増殖を繰り返し、最終的に大量のオーシストが形成され糞便とともに体外に排出されます。分裂増殖する過程において腸粘膜上皮細胞に傷害を与え、下痢や血便などの症状を引き起こします。
 コクシジウム症の症状は、感染量に比例するといわれており、オーシストの感染量が多いほど、症状がより重くなることが知られています。よって、コクシジウム症の予防は、感染量を少なくすることになります。
 まず、飼育環境下での感染場所からオーシストを減らすことで予防できます。具体的には敷料の交換、子牛のハッチ、牛舎の洗浄などの物理的な排除、オルソ・ジ・クロール・ベンゾールを主剤とする消毒剤(ゼクトンやトライキル)の使用があります。しかし、コクシジウムのオーシストは、環境の変化や多くの消毒薬に強く、一度汚染されてしまうと完全な排除は難しくなります。
 そこで、抗コクシジウム剤を用いることにより牛体内の感染量を少なくして、発症を予防することになります。抗コクシジウム剤としてサルファ剤やトルトラズリル製剤などがあります。
 一般に、抗コクシジウム剤は牛体内に感染しているコクシジウムに有効なため、感染時期の特定が重要になります。
 
gijutu2014.jpgコクシジウムに感染した子牛の下痢便

 

 
 国内では10種類以上のコクシジウムがいるとされています。また農場によって、感染時期や種類は違っており、1牧場で複数種が感染していることがしばしばあります。まず、自身の牧場がどの種類のコクシジウム症で困っているのか、発症牛の糞便を採材し、顕微鏡で大きさや形を観察して種類を特定しましょう。
 コクシジウムは種類によって、病原性や感染からオーシストが排出されるまでの期間(プレパテントピリオド)が異なります。標的となる種類を特定すると、プレパテントピリオドから感染時期が特定できます。またその時に牛がいた場所が感染場所です。
 

 
 コクシジウムは、一定以上の量が感染すると免疫ができ、以後同じ種類のコクシジウムが感染しても症状が緩やかに経過することが知られています。しかし、異なる種類のコクシジウムが感染するとこれは起こりません。
 一度コクシジウム症を予防したあと別の種類によって発症した時は、この種類に対する予防が必要となります。
 コクシジウムには多くの種類があり、また、牧場によっても汚染している種類や場所は様々なので、それぞれの農場にあった予防、対策を心がけましょう。
 

 
gijutu3.jpg種 名:Eimeria auburnensisgijutu2.jpg種 名:Eimeria bovis gijutu1.jpg種 名:Eimeria zuernii
 
gijutu6.jpg糞便内の様々な種類のオーシストgijutu5.jpg種 名:Eimeria alabamensis gijutu4.jpg種 名:Eimeria alabamensis
 
 

種   名 大きさ 病原性
Eimeria zuernii 16~20×15~18・類円形 ++++
Eimeria bovis
26~32×18~21・卵円形 ++++
Eimeria auburnensis
31~44×20~27・卵円形 +++
Eimeria alabamensis 17~24×12~16・卵円形 ++
Eimeria ellipsoidalis 20~25×14~20・楕円形 ++

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