2002_発情発見率と経済損益 of tokachi_nosai

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発情発見率と経済損益

 繁殖成績は、「発情発見率」と「受胎率」、そして「任意待機期間(VWP)」の三つの数字で推計することができます。「受胎率」は、技術者側にも要因があると考られ、VWPと共に、ほぼ固定された数値として考えられます。ですから、繁殖成績は主に「発情発見率」によって変化していると言えます。
 「発情発見率」が低下すると、平均空胎日数が伸び、つまり搾乳日数が延長します。このことは泌乳最盛期を過ぎた搾乳効率の悪い期間が延長することであり、これを経済的損失として計算します。
 一般的には、搾乳日数一日延長で、 0.07Kg/日の乳量の減少があると言われています。下表は「発情発見率」と「平均空胎日数」を、受胎率45%、VWP70日で計算したものです。

発情発見率 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10
平均空胎日数 93 97 103 110 118 130 149 176 230 375

 乳量以外の損益としては、産子数、精液代、初産分娩月齢を考慮する必要があるでしょう。


計算モデルについて

 シュミレーションは、下表の前提条件で計算しています。
 その他の条件については以下の通りです。

経産頭数 100頭
受胎率 45%
VWP 70日
発情周期 20日
妊娠期間 284日
乾乳期間 60日
初産牛率 30%

搾乳日数    =   (空胎日数+284-60)/2
乳価       =        70円/Kg
生産子牛    =  (40万円(雌) + 5万円(雄))/2
精液代       =      2000円/本
初産分娩月齢 =   1ヵ月遅れで2万円の損失

分娩後日数 70 90 110 130 150 170 190 210 230 250 270 累計
受胎牛数 32 22 15 10 7 5 3 2 2 1 1 100頭
不受胎残 68 46 31 21 14 9 6 4 2 1 0  
空胎日数小計 2240 1980 1650 1300 1050 850 570 420 460 250 270 11,040日

平均空胎日数 = 11,040/100 = 約110日

繁殖の目標値

 「一年一産」を目指そうとした場合、VWPが60日、受胎率が平均的な45%として計算すると、なんと発情発見率は100%(!)必要ということになります。

発情発見率100%、受胎率45%での理論空胎日数  =  83日
分娩間隔(空胎日数 + 妊娠期間) = 83 + 284 = 367日


 発情発見率は70%以上目指したいものですが、その条件で「一年一産」を目指そうとした場合、受胎率は60%が必要となります。受胎率60%とは、平均授精回数で表現すると、その逆数の1.6回となります。発情発見率70%、分娩間隔12ヶ月、平均授精回数1.6回はいわゆる理想的な目標と言えるでしょう。
 ところで、乳生産から分娩間隔を考えると、もっとも乳量が高くなるのは、分娩間隔が375日~395日と言われています。また受胎率は技術提供側の要因も考えられることから、45%程度と想定するのが現実的でしょう。
 以上のことから、受胎率=45%、VWP=60日の条件で分娩間隔385日を目指した場合、必要とされる発情発見率は70%となります。逆に言えば、発情発見率が70%に達していれば、繁殖成績はかなり理想的なものに近づいているものと言えるのではないでしょうか。
 VWPに関して注意する点があります。繁殖成績を上げるために、しばしばVWPを短くしたくなる誘惑に駆られます。つまり受胎が遅れる牛がいるので、可能な個体は早めに受胎させ、結果的に平均では分娩間隔が目標値に近づく計算です。数値上の成績はよく見えますが、中身をよく見てください。分娩間隔が長くても短すぎても、どちらも乳生産効率が低下します。生産効率の悪いものが合わさって平均が計算されていることを認識してください。
 また、一般にVWPを短くすると受胎率が下がる傾向があります。同じ成績を得るためには発情発見率を上げなければなりません。しかし適切な発情発見でなければ、さらに受胎率低下を招く可能性もあり、悪循環です。極端に受胎率が低い場合には、VWPを長めに設定するほうが、結果的には、よい繁殖成績が得られることがあります。
 繰り返しになりますが、VWPは60日~80日と設定しても発情発見率が70%に達していれば、十分に経済効率の高い繁殖成績が得られます。VWPを短縮するのではなく、受胎の遅れた牛について対策を考えましょう。

用語説明

発情発見率 = 授精回数/理論的な発情回数
 理論的発情回数とは、繁殖対象牛、つまり分娩後の任意待機期間を過ぎた牛について、VWP後から最終授精日までの経過日数を累計し、発情周期(20ないし21)で除した数に1(最初に一回あるので)を加えたもの。授精のないものは、現時点までの経過日数を累計する。よって、妊否には関係なく計算できる。

計算例:
牛A : 最終授精 = 分娩後160日(3回目) 
牛B : 最終授精 = 分娩後140日(2回目)
VWP60日、発情周期20日として、発情発見率は、
5/(((160-60)+(140-60))/20)+ 1) = 50%


VWP(任意待機期間) = 分娩後、繁殖対象から除外する、任意に決めた期間

  • 分娩後しばらくは、負のエネルギーバランスが続くため、その期間を繁殖対象から除外する。任意待機期間を適正に取ることで、期待されるピーク乳量や持続性を得ることができる。2産以上は60日、初産は80日が標準とされている。

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